二重国籍辞職、緑の党ラリッサ・ウォーターズ氏の場合

今回も、二重国籍を理由に辞任した豪州上院議員のコメントを紹介する。緑の党のラリッサ・ウォーターズ上院議員は、国会で授乳した最初の女性議員で、日本でも話題となったが、今回の辞任については大きな話題とはなっていない。

前回記事のスコット・ラドラム氏の場合と同様、彼女のコメントにも「ヘイト」や「差別」であるとは言っていない。また、「豪州は移民の国なのだから憲法の規定がおかしい」などという発言もない。これは当然の話であり、まずは責任を取り、下野した上で憲法改正を主張するのが、政治家の姿勢としては美しいからだ。

私は緑の党を評価しているわけではないし、その環境運動やフェニミズムにも共感しているわけではないが、我が国の民進党党首の蓮舫議員の態度と比べると、どうしても彼等の方が政治家として立派だと言わざるを得ない。

私がオーストラリアとカナダの二つの国籍を持っていたのは、非常にショックで悲しい事です。私の親友で前同僚のスコット・ラドラムが最近出て行ったことからご承知のように、豪州憲法44条により、私は連邦議会の議員である事は出来ません。

私は、カナダで短期間就学・就労していたオーストラリア人両親の元に生まれ、両親がカナダから帰国する前に、まだ幼児の時にカナダを離れました。私は幼児の時に豪州国籍を取得し、豪州国籍とのみ思って生きてきました。両親は21歳までにカナダ国籍を取得できると語っていましたが、21歳の時、私は二重国籍を選択せず、そして生後11ヶ月でカナダを離れてからは一度もカナダに行った事はありません。

しかしながら、スコットのショックがあってから直ぐに法律相談をしたところ、70年前のカナダの法律により私は生れた時から二重国籍であり、そして私が生れて1週間後に成立した法律により、カナダ国籍を放棄する手続が必要であった事が分かり、困惑しました。

私は自分が二重国籍だとは知らなかったため、国籍放棄はしませんでした。私が2007年に上院議員に最初に指名された際にアドバイスを求めるべきだった事は明白で、私にはこの悲しい失敗と見落としについて全ての責任があります。この事が起す全ての影響について非常に申し分けなく思います。

本日、クィーンズランド上院議会議員と豪州緑の党共同副党首の職を辞せざるを得なくなり、非常に重い気持です。

私は、私を支えてくれた人、クィーンズランドの素晴しい人々のために過去6年間にわたる代表に選出される事を助けてくれた人々全てに、心から謝罪します。

より公平できれいな世界を望むクィーンズランドの人々のために、自分の価値観を表明し、語ることが出来たことは、私にとって信じられない幸運でした。多くの人に支えられて、その責任が与えられ、私の能力の最善を尽してその責務を果した事に勝る栄誉はありません。

クィーンズランド緑の党はかつて無いほど強力です。今日の出来事にもかかわらず、クィーンズランドはまだ緑の党の議席を連邦議会に有しています。そして、何人かの緑の党議員を我々の州議会に次の選挙で送る事が出来るまで成長できると確信しています。

連邦議会で最初に授乳した女性となったことから、グレート・バリア・リーフでの浚渫物埋め立てを阻止した時の一人になったことまで、またドメスティックバイオレンスのサービスカットをひっくり返し、連邦の手に主要な環境決定の権限を維持させるなど、私は緑の党上院議員の一人として、良い変革を実現する全ての瞬間を楽しみました。

しかし、私たちが国家として直面している課題はまだまだ巨大で、私はそれらから離れません。私は自分の仕事に関する人生の中で、環境を守り、コミュニティが意思決定に関与できる事に費やしてきましたが、これを止める事はありません。

私たちはアダニ大鉱山を止めなければなりません。そして、女性を暴力、セクシズムから自由にし、差別から解放される事を助けなければなりません。私の将来は未定ですが、この先に横たわっている事について、もっと貢献し、私の党と話をします。結果が何であれ、私は常にジェンダー平等と環境保護のために働きます。

国会での緑の党の同僚とともに、そしえクィーンズランドの党の中で働いた事を光栄に思います。彼等は最高の人々であり、そこから去るのはとても苦痛です。今、私はクィーンズランドの人々が力強い緑の党の議席が上院にまだ留まっている事を党とともに確かなものにし、そして我々の州の候補者、メンバーそして支持者とともに、クィーンズランド州議会に緑の党を送り込むために働く事を優先します。

私の個人的な状況にもかかわらず、私はこの惑星の共通の未来のために変わらぬ希望を抱いています。私たちの運動は、どんな一人よりも大きく、そして最後には勝利します。

親愛なる友達に、さようなら

上記のコメントについては、英語の原文を読んで欲しい。

http://greensmps.org.au/larissa-statement

二重国籍で辞職したオーストラリア緑の党スコット・ラドラム氏の場合

前回記事のスコット・ラドラム氏は、豪州緑の党所属の議員であり、環境保護や反核、反原発などの立場の人である。日本では脱原発を掲げる民進党に近いと言えるが、その党首である蓮舫氏との対比では、二重国籍問題に関し、全く異なる姿勢を見せた。スコット・ラドラム氏が二重国籍保持を理由に辞職する際に以下のようなコメントを発表している。

最近になり、私がオーストラリアとニュージーランドの二重国籍を保持している事が判明いたしました。豪州国憲法第77条のもとでは、国会に有効な議席を持ってないことになります。

私は、この間違いに対し謝罪します。これは私の失敗であり、最初に候補者に指名された2006年時点で確認しておくべき事でした。憲法がここまで明確であるのに、私は不確かな状況を長引かせたくはないですし、長い法的論争をつくり出したくはありません。私は本日をもって、西オーストラリア上院議員を辞職し、また豪州緑の党の共同副党首を辞職いたします。

私は、10年前に避ける事が出来た見落しによって、自分が同僚、支持者、そして素晴しいチームから離れなければならないという事を知り、個人的に悲しみに暮れています。皆様は、私を皆様の候補者として選び、国会に送り、そして2014年のかつてなかったような補欠選挙を戦っている時に集まってくれた方々です。皆様は過年の挑戦を通して私を支持して頂き、政治の世界に復帰する力を与えてくれました。皆様が誰であるのかは皆様が知っており、そして私は決してあなた方の支援を忘れません。

私は北ニュージーランドのパーマストンで生れ、私が3歳の時に家族とともに国を離れ、9歳の誕生日の少し前に豪州に住み着きました。10代半ばの時に帰化した際、ニュージーランドの国籍はなくなったものと思っていました。

私は豪州上院で9年間努めたのは信じられないような幸運でした。ジャビルカ・ウラン鉱山の抗議で歯が欠けたみすぼらしい(scruffy)子供は、先週、歴史的な核禁止に関する国連本会議でスピーチする名誉を得ました。最後としては、悪くはないですね。

豪州緑の党は、より清潔で、緑で、そして公平は豪州のための強力な擁護者であり続けます。私は何か違う立場で貢献し続ける方法を探しますが、私とともにこの素晴しい歩みを共有していただいた全ての皆様に感謝します。

私の文章力、英語力ではうまく伝えられないが、元の文章はScott Ludlam氏のtwitterに掲載されているので、参考まで。

豪州二重国籍議員の辞職

蓮舫民進党党首の二重国籍疑惑が話題となっている中、豪州で二人の議員が二重国籍を理由に辞職した。

一人は緑の党の共同副党首の一人であるスコット・ラドラム上院議員で、7月14日に辞職した。過去9年間、ニュージーランドとの二重国籍状態である事を知らなかったが、最近になって二重国籍状態であった事が判明したためだ。彼は自分のミスである事を認めて謝罪した。

もう一人は緑の党のもう片方の共同副党首であるラリッサ・ウォーターズ上院議員で、2011年から議員を努めているが、カナダとの二重国籍状態である事が判明し、7月18日に辞職した。彼女も二重国籍のミスに対して自分に全責任があると認め、支援者に謝罪した。

スコット・ラドラム氏はニュージーランド生まれだが、3歳の時にオーストラリアに移住。ラリッサ・ウォーターズ女氏はカナダで生れ、生後11ヶ月の時にカナダを離れ、8歳の時にオーストラリアに移住している。

緑の党党首のディ・ナタレ上院議員は二人の共同副党首の辞任を受け、所属議員に二重国籍者がいないか徹底的な調査を実施すると約束した。

スコット・ラドラム議員の辞職は前首相のトニー・アボット氏の二重国籍疑惑にも波及したが、トニー・アボットは直ちに英国籍の離脱証明書をTwitterで公開し、噂を一蹴している。

最近のニュースサイトではTwitterでの意見を転載する事が多いが、今回の件でも支持者達の声が数多く掲載されている。ほとんどは”We miss you”で、議員を激励するもの、感謝するもの、応援するものばかりである。「ヘイト」であるとか、「差別」であるなどの意見は一切無い。支持者達は、潔く法に従い、謝罪した議員をむしろ称えているように見える。

蓮舫の二重国籍問題を巡り、左翼や在日外国人が差別であるとか、人権問題であるとか主張しているが、反日活動のためのプロパガンダに過ぎない。政治家が法律を遵守するかどうかの問題である。人権に配慮して国籍を隠すというのは異常な意見であり、それを隠すような社会がむしろ差別を助長する。法律上二重国籍が問題となる場合には、証拠を堂々と示す事ができる社会の方が差別の無い社会なのである。

蓮舫氏の場合は、異様な左翼世論の中で、豪州議員が見せたような政治家としての矜持、潔さからは正反対の態度であり、今すぐにでも議員辞職すべきである。

さて、豪州でも議員が二重国籍であってはならないという憲法の規定がおかしいという意見はある。The Sydny Morning Heraldというサイトの意見欄では、Adam Gartellという人が二重国籍の禁止を「ばかげている(absurd)」と表現し、完璧な時代遅れで豪州のような多文化が融合した近代国家では奇妙だとも言っている。

一方で、彼は、昔は二重国籍の禁止は合理的だったという意見だ。すなわち、当時、豪州は出来たばかりで、周囲は敵に囲まれ、敵に浸透される恐怖があったと言うのだ。

さて、今日の日本はどうだろう。日本の歴史は古いが、周囲は日本の領土を狙う敵対国ばかりだ。韓国は対馬の領有を主張し、中国は沖縄を奪おうとしている。北朝鮮は日本人を拉致したまま核・ミサイルで日本を脅し、ロシアは北方四島を不当に占領したままだ。国内の朝鮮人は日本で反日政治活動を繰り返し、メディア、経済、そして政治に侵食している。もちろん最大の脅威は中国であり、増え続ける在日中国人は中国共産党の対日工作の巨大な武器となっている。

森友学園騒動でマスコミが解明しなかった事

今年の2月から4月にかけて森友学園問題が国内政治を騒がせた。結果的に政権側には全く問題はなく、マスコミや左翼が不正の証言者として期待した籠池氏サイドの杜撰な学校経営が明らかとなり、マスコミが加計学園騒動に軸足を移す中、この話題は終焉した。

マスコミは森友学園問題を精力的に取材したが、国有地売却に関連する不正は見つからず、印象操作としては手詰りの状況になり、加計学園取材に移行したのである。

左派系メディアの倒閣偏向報道がもたらす民主主義の危機

しかしながら、森友学園騒動ではいくつかの点が疑問として残されたままだ。その一つは、「学校用地の地下にあった大量の廃棄物は、いつ、誰が持ち込んだのか」というものだ。

対象となっている土地は、豊中市が施行主体となっている野田地区土地区画整理事業で整備された土地であり、国が大阪国際空港の騒音補償のために買い取っていた土地と引き換えに取得した土地である。

土地区画整理事業では、事業前に保有してた土地と、事業後に保有する事になる土地の間で、価格のバランスが取れるよう、各人の土地をシャッフルする。地権者の土地を入れ替えたり、削ったり、足したりする。

野田地区土地区画整理事業は平成8年に事業認可され、平成17年に換地処分(シャッフルの終了)されている。この事業により、国は補償のために買い取っていた土地と同等の土地を取得したはずであるが、もし地下に大量の廃棄物が存在する事を知らずに事業を実施したと仮定するなら、国はとんでもない土地を掴まされたという事になる。

一方、対象となる土地に大量の廃棄物がある事が前提として事業が実施されていたとすれば、国が当該土地の価格を事前に理解していた事になり、森友学園の土地取得の過程で生じた混乱は無かったはずであり、したがって今回の騒動は起きなかったはずである。

土地区画整理事業の段階で地下の汚染が把握できないという事は、土地の価格のバランスを保ったまま土地の権利関係を組み換える事業手法の信頼性が損なわれてしまう。

あるいは、長期にわたって未利用地のまま放置している間に、何者かが不法に投機したとすれば、国の管理が杜撰だった事になり、当時の担当官僚の責任問題となる。平成24年の野田政権の時代に、一旦この土地が新関西国際空港株式会社のものになるが、安倍政権発足直後に国土交通省に戻されている。この過程で何かが起きた可能性はないだろうか。

野田土地区画整理事業は、国土交通省にとっては自慢の優良事業である。平成7年に発生した阪神淡路大震災では対象地域も被害を受け、震災復興事業の補助が適用され、また密集住宅市街地整備促進事業とも併用された。市街地再開発事業という別の事業も組み合わせ、長屋建て替えを実現させるなど、国土交通省が積み重ねてきた補助金事業が大成功した例と言って良い。さらに豊中市はこの事業の中で公営住宅を取得している。

しかしネットで色々と検索すると、一つ不明な点がある。それは、今回話題となった森友学園用地は、当初の計画では近隣公園として定められていたのに、いつの間にか国有地売却の用地となった点だ。

土地区画整理事業というのは住民の合意形成が不可欠であり、広大な近隣公園の絵を見せられて賛成した人もいただろう。本来は豊中市が取得し、予定通り近隣公園として整備すべきだったし、そうしていれば今回のような騒動も無かった。

豊中市は、国が格安で譲ってくれるとの思い込みがあったようだが、隣接する野田中央公園を補助金活用により格安で取得できたのだから、森友学園用地だって購入できていた可能性はある。さらに地下にゴミが大量に埋まっている事が事前に分かっていれば、豊中市は当初の絵姿通り、近隣公園として整備できていたと思われる。

日中緑化交流基金に起きた異変

近年、中国は大量の日本人をスパイ容疑、あるいは全く理由が不明なまま拘束している。報道によれば現在12人の日本人が中国当局に拘束されたままだ。

恐しいのは理由が不明な点だけではなく、日本政府が何ら対応をしない点だ。北朝鮮による拉致被害者への対応もそうだが、我が国は外国政府の弾圧に苦しむ自国民に冷淡だ。

中国で拘束された人物には、日中緑化交流基金が進める砂漠の緑化事業に尽力してきた人も含まれる。報道では匿名なので、どの団体に属する人物かは不明であるが、かなりの親中派であるようだ。中国共産党の権力争いに巻き込まれたとの説が有力だ。

さて、日中緑化交流基金と言えば、安倍政権のもと、2015年末に90億円の支出が補正予算で認められた。その後、平成28年度には57件の事業に対し合計4億1450万円の助成が実施されている(相変らず鳩山由紀夫が理事長を努める日本友愛協会が助成対象に入っている)。

ところがである。今年平成29年の7月7日、日中緑化交流基金のホームページに以下のような知らせが掲載された。

平成29年度日中民間緑化協力委員会の委員会資金による助成事業の募集について

日中民間緑化協力委員会の委員会資金による助成事業は、中国で植林緑化協力活動を行う民間団体等を対象に、平成12年度から実施しているところですが、基金残高の現状に鑑み、平成29年度は、平成28年度からの継続事業のみを募集対象とし、新規事業の募集は行わないことといたしますので、ご理解のほどお願いします。

「基金残高の現状」というのは意味不明だ。上記の補正予算90億円とは一体何だったのか。手続きか何かの問題で、基金には支出されなかったのだろうか。

本件、実際に100億円基金体制が維持されたにも拘わらず、わずか1年で助成継続が困難となったのだとすれば、何かが変だし、補正予算が実際には実現しなかったとすれば、政治的な裏がありそうだ。

ネットの情報だけでは不明であるが、ひょっとしたら中国による邦人拘束が影響しているのかもしれない。この件は引き続きウォッチしていくつもりだ。

ところで、大陸緑化について色々とググっていると面白い事が判明した。実は対中ODAは現在も継続しているのである。具体的にはJICA(国際協力機構)が中国への技術協力を実施しており、最近では「環境にやさしい社会構築プロジェクト(大気汚染対策業務)」なるJICA事業を「一般財団法人日本環境衛生センター」が受注している。

中国の大気汚染は日本でも被害が発生しているから、大気汚染対策であれば対中ODAも大丈夫だろうと思ったら大きな間違いである。中国の大気汚染は中国企業だけの問題ではなく、現地に進出している米国やドイツ企業の問題でもある。日本の援助は、中国を助け日本に対抗する欧米企業を支援しているようなものなのである。