1961年、時の韓国大統領朴正煕は、アメリカにベトナム戦争への参加を打診した。ベトナム派兵が実現したのは1964年の事で、1972年まで延べ人数で32万人が参加した。共産主義の脅威と闘うため、と現代の韓国人は言うが、実際には戦争特需による韓国経済への貢献が戦争目的であった。
また、韓国ではアメリカの要請によって派兵された事になっているらしいが、実際には韓国側の要請に基づくものだった。これは2008年の朝日新聞でも指摘されている。
実は、韓国は李承晩(り・しょうばん)の時代にも参戦を申し入れている。1954年の事で、この時はまだフランスがホー・チ・ミンとの戦争を継続していた(インドシナ戦争)。韓国政府は韓国軍1個師団派遣を申し出たが、フランス政府は中共を刺激しかねないとの理由で韓国軍のインドシナ派兵は拒絶した。なお、インドシナ戦争はその後すぐにフランスが敗北し、1954年7月に終結した。
フランス軍の敗色が濃厚である中、李承晩がインドシナ派兵を申し出た理由は不明である。その後は米軍が介入するようになり、韓国は1964年にようやく軍隊を派遣し、10年越しの念願が実現した。
韓国軍がベトナム国内で住民の虐殺を繰り返したのは、戦争に大義名分が無かった証拠であろう。虐殺の内容は「ソンミ村虐殺事件からもうすぐ50年」に書いた通りである。
ところで韓国では、ベトナム戦争に従事した軍人が大統領になっている。全斗煥と盧泰愚である。李承晩、朴正煕とあわせ、つくづく韓国はベトナムでの戦争に縁が深いものである。
韓国はどうしてベトナムでの戦争を望んだのだろう。これは推測だが、朝鮮戦争で鍛えた実戦経験を継続させたかったのではないだろうか。そして、常勝軍を維持する事で、仮想敵国との戦争に備えていたのではないか。日本との。