効果をあげた「中国批判声明参加を日本政府拒否」の共同通信報道

6月7日に共同通信が伝えた「日本、中国批判声明に参加拒否 香港安全法巡り、欧米は失望も」の記事は虚報の類であった事が菅官房長官の記者会見や何人かの政治家達によって指摘され、安倍首相は逆にG7での共同声明を主導していくと国会で発言するに至った。

さて、今回の報道を戦時情報戦の一環と考えると非常に巧妙なものであった事が分かる。

第一に、日本国政府は習近平の国賓来日に固執してきたため、共同通信の報道を簡単に信じてしまう状態にあった。現在、日本が維持している中国共産党寄りの姿勢は、安倍政権以外であったら世論から国賊扱いされ政権がもたないであろう。保守強硬のイメージのある安倍政権だからこそ対中宥和も売国とは見なされていない。今回の報道ではその微妙なバランスを観察する事ができた。

第二に、香港安全法に関する国内世論の動向を確認する事が出来た。結論としてはネットや政治家、評論家の間では非難の声があがったものの、日本国民が香港問題自体にはそれほど関心がないという事がわかった。

第三に、中国による香港支配の既成事実化を進める事ができた。

共同通信の報道は、非常にわずかな影響ではあるが、香港の民主化活動家の闘争心を挫き、国際世論に香港安全法が規制事実化しつつある現実を見せ、各国の指導者に香港での新秩序を前提とした落とし所を探らせる効果があったのだ。

戦時では相手国側の戦意を喪失させる事が重要だ。香港市民にとっての脅威は国際世論が関心を失い、中国共産党の決定に干渉しなくなる事だ。それは、既にチベットやウイグルで起きている事である。

共同通信はじめ日本の報道機関には中国共産党の工作が入り込んでいるのは間違いない。