福島原発の事故以来、反原発派は世論の味方を得て大きな勢力となっているようである。この中には日本共産党も含まれ、選挙では「反原発」を大きく前面に打ち出している。あれだけの大惨事であったのだから、世論が反原発に傾く事は理解できる。そして世論に便乗して反原発をアピールする日本共産党の姿勢も当然と言えば当然だろう。
しかし私にとっては、当初日本共産党の反原発には大きな違和感を感じていた。というのは、もともと個人的には原発賛成派で、そしてそれは共産党の影響を受けていたからだ。
私は共産党の一家で育ったが、ある時期から赤旗を読まなくなり、共産党にも興味を失くしてしまった。だから近年の原発に関する共産党の方針がどの様に変遷したかについては良く知らない。ただ言えるのは、かつて共産党は原発支持派であり、共産党支持者だった私はそれが理由で原発には賛成していたのだった。
かつて日本は石油を求めて南方に軍を進めた。憲法を遵守して自衛隊を解体し、日本が再び軍拡の道を歩まぬようエネルギー自給を達成する。更には石油依存から脱っし、米国の石油メジャーの支配から解放されるために、日本は原発を推進すべきである、というのは、憲法9条を神聖のものと考える共産党支持者にとっては実に自然な論理であった。
もちろん、当時の自分は子供だったから、共産党がどういう論理で原発賛成だったのか正確には知らない。ただ、自分なりに共産党が原発に賛成する意味について、上記のように解釈していたのは確かである。
ずっと共産党支持者だった人、最近共産党を支持するようになった人、あるいは共産党には興味が無かった人には、今日の共産党の反原発姿勢も不思議には思わないだろう。ただ、私のように共産党について一定のブランクがある人には、奇妙にしか見えないのである。