侵略戦争と植民地支配は何故いつも同時に使われるのか

左翼は「日本のアジアに対する侵略戦争・植民地支配」という表現を好んで使う。学校教育の中でもこの表現が利用されているため、ほとんどの日本人は第二次世界大戦における日本の行為を簡単に表現したものと漠然と感じている事だろう。これは1995年の村山談話の中でも「植民地支配と侵略」という言い方で利用されている。

今やごく自然に利用されているこの表現であるが、考えてみると奇妙である。「植民地支配」と「侵略」をどうして並列して使う必要があるのだろう。両者が同じ意味なら、単語一つで十分であるはずだ。

結論から言うと、両者を同時に利用する最大の理由は、朝鮮(北朝鮮、韓国)を被害者側として扱うためである。日本は朝鮮とは戦争しておらず、「侵略」には該当しない。このため日韓併合を持ち出してして「植民地支配」を非難する必要があるのだが、単なる植民地だと日本批判のインパクトが不足している。このため、東南アジアに対する侵略と朝鮮半島の植民地支配を合体させ、朝鮮の被害を強調しようとしているのである。

侵略については、用語の定義に依るが、日本が英米蘭と戦争するためにマレーシアやフィリピン、インドネシアに軍隊を進め、人的・物的に多大な被害をもたらした事は事実である。その酷さを誇張するために「侵略」という用語を扇情的に利用している面はあるが、「日本の軍事行動により、欧米諸国に植民地支配されていた東南アジア諸国の民衆に多大な苦痛をもたらした」という意味で「日本の侵略」という表現は可能であろう。一方で朝鮮は1910年の日韓併合により大日本帝国の一部となったため、第二次世界大戦中でも日本と朝鮮の間に戦争はなかった。
では植民地支配はどうかというと、これも用語の定義に依るのだが、満州、朝鮮、台湾が該当する。他の東南アジア諸国は戦争中の数年間、軍事的に占領していたに過ぎない。

「植民地支配」と「侵略」を並べるのは、アジア諸国が全て同じような被害を受けた事にして、何としても朝鮮を被害者として扱いたい左翼のプロパガンダなのである。