憲法9条にはスターリン平和賞が良く似合う

今年(2014年)のノーベル平和賞には、パキスタン人のマララ・ユースフザイとインド人のカイラシュ・サティヤルティが受賞した。パキスタン人とインド人に同時に賞を与えるというのは、日本人と韓国人に同時に賞を与えるようなもので、政治的なメッセージが込められている。マララ氏の受賞が意味するところは、先進国の基準から見た場合、世界ではまだまだ女性の人権弾圧が深刻な状況にあるという事であり、日本も積極的協力すべき分野である。

さて、今年は日本国憲法9条がノーベル平和賞の候補になった、という話題を朝日新聞はじめ左翼メディアが大々的に伝えた。憲法改正を掲げる自民党政権への打撃となる事を期待するとともに、そもそも憲法9条の存在が、反日左翼を裏で支えている外国勢力にとって重要だからである。

憲法9条の最大の受益者は、日本が軍事的抑止力を持つ事を嫌う中国、韓国、ロシアである。戦後、日本に共産主義革命を起こそうとしてきた勢力には米軍の支配下にある自衛隊が目障りだったし、近年は特に中国にとって日本の軍事力は彼等の世界覇権にとって邪魔な存在だ。また何かと日本を敵視する韓国にとっても日本は弱小国であった方が良いから憲法9条には賛成だろう。

そんな日本国憲法第9条には、スターリン平和賞こそふさわしい。スターリン平和賞というのは、かつてソ連政府が世界の平和貢献者に授与していたもので、1950年から5年間だけ存続し、合計45名が受賞、うち2名は日本人である。

今日からすれば、全くギャグにしか聞こえない平和賞である。スターリンは大粛清により多数のソ連国民を処刑し、連邦内の諸民族を強制移住させた人物なのである。「平和」という単語とは最も結びつきそうにない政治家の一人であろう。

ところが当時はソ連やスターリンで平和のイメージを連想しても不思議ではなかったようなのである。冷戦時代、ソ連は積極的に「平和攻勢」をかけ、西側諸国の戦争を批判してきた。この間、日本では社会主義陣営に都合が良いように平和主義化していった。一方、ソ連や中国は周辺国を侵略・併合して武力弾圧をしていたが、これらは内政問題として扱われた。

ベルリンの壁崩壊後、旧社会主義諸国を平和陣営と言うものはいなくなったが、それでも日本の左翼は当時の思想を引き摺っている。憲法9条死守というのもそうで、今でも律儀に外国の反日勢力に尽し続けている。それが、昔はコミンテルンであったが、今日では中国と韓国である。

佐藤栄作が1974年に非核三原則などでノーベル平和賞を受賞し、その後の日米同盟関係に悪影響を与えた。反日左翼はそのような効果を期待しているのだが、冷戦時代の社会主義陣営による平和攻勢で生き延びた憲法9条には、本当はスターリン平和賞が最も良く似合うのである。