河野洋平の慰安婦強制連行コメントを否定した安倍内閣の度胸

読売新聞のネット記事によれば、10月21日、菅官房長官は共産党議員の質問に答える形で河野談話後に河野洋平が記者会見で「強制連行があった」旨の発言について、「そこは否定する」と述べたそうだ。

1993年に出された河野談話自体は変な文章で解釈に困るところがあるのだが、河野氏の記者会見での解説によって、当時の日本政府が朝鮮人女性を強制的に連行して慰安婦にしたのだ、という事を日本国政府が認めた談話、という位置づけになっている。安倍内閣は河野談話の見直しはしないと明言しているが、その間違った解釈は認めない、という立場なのだろう。

河野談話から20年以上、政府の側から誰もこの問題には触れようとしなかったのだから、大きな進歩である。と同時に、前回記事で指摘した良い子路線が難しくなる事を予感させる。何よりもアメリカを初めとする戦勝国が許さないだろう。

アメリカは第二次世界大戦で大量の日本人一般市民を虐殺した。それを正当化するのは戦争の大義であり、朝鮮民族の解放もその中に含まれている。占領期間中、米軍は在日朝鮮人に厳しい対応を取る事もあったが、それは朝鮮人が共産主義に毒されて日共と組んで暴れまわったせいである。だが、アメリカの戦争によって朝鮮民族を日本の軍国主義から解放してやった、というのが彼らの本音であり、そのためには日本の朝鮮統治が実に酷いものであった、と主張するのがアメリカの立場だ。

だからアメリカとの友好関係を継続するためには慰安婦問題は政府としては放置しておくのが一番良い。長期的には日本の国益を損ねるものだと分っていても、アメリカに反旗を翻すのは危険だと政治家は十分理解している。一方で菅官房長官の発言は諸外国の注目を浴びるのに十分であり、下手に対応すると、いつものように安倍政権がアメリカの工作で潰される危険性すらある。

今回の共産党の意図は明らかだ。第二次安倍内閣が看板とした小渕、松島の女性大臣が辞任に追い込まれ、消費増税で難しい局面にある政権に対し、歴史問題で挑発する事で踏み込んだ発言を引き出し、外国に向って騒ぎたてる事で政権を弱体化させようとする、従来からの典型的なやり方である。

それでも安倍内閣は、あえて強制連行を否定する、と明言した。国民世論が支持すればアメリカの圧力もかわせると判断したのだろうか。朝日新聞の記事訂正で慰安婦問題の真実をかなりの国民が知るようにはなったが、まだまだ世論の支援は不足している。朝日新聞はまだ謝罪していない、慰安婦問題を捏造し広めた反日左翼も主張を変えていない。あと一撃が欲しいところである。