今月(10月)になって、ようやく福島第一原発4号機の使用済み核燃料棒が残り11体となった。と言っても、もともとあった1331体のうち1320体が消えたのではなく、別のより安全な場所に移送された、というだけの話だ。「だけの話」ではあるが、水素爆発で無惨な姿を晒した4号機の建屋が余震か何かで崩壊する事の恐怖を思えば、安心する話ではある。
週に22体ずつしか移送できず、ここまで来るのに1年を要した。当初はUFOキャッチャーなどと揶揄され、不安をかきたてる報道もあったが、無事終了しそうで何よりである。
しかし使用済み核燃料の問題はまだ残されている。1号機から3号機まで、まだ取り出されずに残されているのだ。1号機には292、2号機には587、3号機には514体の使用済み燃料が放置されたままだ。その数1393体。苦労して移送した4号機の使用済燃料よりまだ多い数が残されている。
福島第一原発の中長期ロードマップによれば、3号機からの使用済燃料取り出しは2015年度、1号機と2号機は2017年(検討中)となっている。これらは4号機と違い、ガレキが燃料プールを覆い、しかも放射線量が高いため、なかなか作業にとりかかれない。3号機では9月に吊り上げようとしてた機材が落下してしまうという、まさにUFOキャッチャーのような出来事があって、作業が遅れているようだ。1、2号機については全く分からない状況。
マスコミは汚染水の問題ばかり話題にするが、冷却水を通しての放射性物質の外部への放出というのは、上記の使用済み燃料プールでの事故、例えばプールの水が流出・蒸発して消えるとか、地震でプールの底が抜けるなどの事態で引き起こされる事故に比べれば大きな問題ではない。もしこのような事故が起きれば、作業員が現場に近づくことも出来なくなる事も考えられるからだ。
冷静に考えれば、通常の建築物より耐震性の高い原発の建屋が地震で崩壊するという事はない。しかし水素爆発で屋根や壁が滅茶滅茶になった光景を見ている国民としては、その建物のほぼ最上階に使用済燃料がプールの水にいつまでも浸っている、という状態は感情的に受け入れる事が出来ないものである。地震には大丈夫とは言っても、通常の原発に比較して日常の維持管理が制約されている状況なのである。
1、2号機の燃料プールからの燃料取り出しが2017年という事は、全て終了するのは2018年か2019年であろう。そう順調に行くとは思えないから、全ての使用済み燃料が移送されるのは、恐らく2020年以降になるのではないか。そうすると、これから数年はまだまだ不安が継続するばかりか、東京五輪の時期も何かしら一抹の不安を引き摺りながら過ごさなければならない。
反原発の動きも、全ての使用済み燃料が移送完了するまで収まる事はないだろう。反原発は反日左翼の隠れ蓑だから、反日政権復活の可能性も無いわけではないのである。