サッカーで日本代表が他の国に勝って喜ぶのは、別に右翼だからではない。スポーツの世界で日本人選手の活躍を喜んでも右翼とは言わない。逆に反日左翼の中には日本のチームや選手が活躍する事を苦々しく思っている人達はいる。日の丸が目立つ事と日本の国歌が流れる事が憎いからだ。だからメディアの中には日の丸や国歌斉唱の映像を故意に報道しない所もある。スポーツの国際試合は愛国心を高めるが、別に右傾化というわけではない。しかし日本選手があまりにも活躍すると、反日左翼の側から見ると右傾化に見えてしまう。
これと同じ事が、日本の良いイメージを伝える出来事にも言える。日本製品が世界で信頼を得る、海外で日本人が現地で感謝される行動をする、また日本での日本人の行動が世界に賞賛される、といったニュースは、別に右傾化とは関係はなく普通の日本人に嬉しい話である。しかし日本人であっても、それらを不愉快に思っている人達もいる。
確かに、スポーツを通した国民としての一体感や、日本の良さを伝えるニュースで日本好きが増えるという現象が、昨今の様々の保守化傾向と重なり、相乗効果で右傾化を促している面はあるだろう。今までは左翼思想のままで日本の世界の中での地位向上を喜んでいた人達が、居心地の悪さを感じているのが昨今の状況だ。
さて、過去30年間のインターネットの普及により、これまで同時代のニュースだけ、あるいはテレビが伝える出来事だけで形成されてきた情報空間が、過去にまで広がるようになった。この結果として今まで以上に日本が好きになるきっかけが増えている。ブログや個人のホームページでも取り上げられているし、Youtubeを見ればそのような話題が数多くアップされている。
日本人がノーベル賞を受賞したとか、日本車が世界で売れているとか、衛星打ち上げに成功したとか、そのような話に加え、美談と分類されるような話も多い。例えば、第一次世界大戦後のパリ講和会議で日本が国際会議で始めて人種差別撤廃条項を提案した、という歴史上の話から、日本のODAで農業生産が増えた、といった話まで様々なものがある。
一方、日本の良さを見直して日本が好きになる事は良い事なのだが、あまり感動ものの美談ばかり見聞きして日本礼賛のようになってしまうのも問題だ。
例えば、アジア諸国の植民地支配からの独立に日本人が関与したのは事実だが、旧日本兵の参戦がなければ独立できなかった、というものでもない。きちんとした歴史の理解が背景にあったうえで美談も知識として加えるようにしないと恥をかくことになる。
また現代の話もそうだ。野口英世のような日本人が開発途上国で多く活躍しているものだと感心する前に、海外での援助の現場では日本の税金で、ボランティアではなく報酬をもらって活動している民間企業が主体であると知るべきだ。