終焉を迎える安倍外交

メディアは一切報じていないが、最近の日本は、まるで中国共産党と同じような、民主主義とは思えない強権的な態度で民間人の活動を弾圧している。チャンネル桜がやろうとしている尖閣沖出港への妨害である。中国が政治的意図で漁民の行動をコントロールしているのは確かであるが、日本も同様の事を行なっているのである。

チャンネル桜では、官邸の関与で民間人の尖閣沖出港を阻止しているのか、役所のレベルの問題なのか、という事を問題にしているが、普通に考えれば、これは現政権の決断、すなわち安倍政権の決定である。安倍政権が、中国を刺激するような民間人の行動を強権でもって阻止しているのである。

これは、明らかに日中首脳会談の実現を最優先とする安倍政権が、権力を行使して民間の行動を妨害しているのである。その周辺にいるのは、長期的な視点を持つ事が出来ない国の役人であろう。彼らは自分達が政治や外交のプロだと思っていて、彼等なりの正義で動いているのであろう。それはエリートの勘違いである。朝日新聞記者と同じ事である。

今回、尖閣や小笠原を中国に譲ってでも実現した日中首脳会談が一体どれ程の意義があるのだろう。得たものはわずかであり、失なったものは巨大である。

さて、安倍首相は中国首脳と会談する前に周辺国の多くの首脳と会談してきた。保守派の意見では、中国を素通りする安倍声援のやり方が中韓を焦らす効果があるなどとして評価しているようだ。しかし、今回の日中首脳会談と、国家による露骨な尖閣沖活動への弾圧により、この全ての努力が水泡に帰す事になりそうである。

安倍首相の勢力的な外交活動は、実は現場でかなりの無理を強いている。何とか日本の協力を実現させようと、怪しげな事業にもお金をつける、というような事が実際に行なわれているようだ。残念ながら、外務省はじめ、国の役人は点数稼ぎが第一であり、その後の事は考えずに総理に良い顔をしてその場しのぎの事業を紹介しているだけだ。

数年後には、安倍首相の約束がほとんど空振りであった事が露呈するであろう。国が作成しているぺーパーを見ると、実に多くの事業で日本の製品が輸出されるかのように書かれている。しかし、そのほとんどは頓挫しそうな事業であり、安倍総理は裸の王様である。

実は外務省が御膳立てする事業の多くが空振りである、というのは珍しくはない。数多くの事業のうち、わずかでも実現すれば政権の目玉となり得る。しかし、今回の日中首脳会談をめぐる政権の対応を見れば、それらの空振りも全く無駄であったと言わざるを得ない。

中韓素通り外交が機能していた間は問題とはならない。しかし、今回のような事態に直面したとなれば、無視できない問題となる。膨大な資金と時間を要した安倍外交の成果が結局何だったのか、という点については、将来問題となるであろう。

具体的に見ると、納税者から見れば役所の責任問題を徹底的に追求するような事案はいくらでもある。残念ながら、報道は外交についてはそれ程厳しい批判はしないので、一般に知られる事は無いだろう。しかし、あまりに中国迎合の姿勢を見せるようであれば、黙っていない人は、黙っていないだろう。