グアムは何故アメリカの領土なのか

昨年末、オマバ大統領がキューバとの国交正常化交渉を発表した(12月17日)。アメリカはキューバ革命後の1951年にキューバとの国交を断絶し、以後60年以上は敵対状態であったら、驚きのニュースである。

カストロはキューバに社会主義革命を起してアメリカと敵対したが、アメリカはキューバがスペインと独立戦争を戦っている時にはキューバを支援した。1898年、アメリカの戦艦メイン号がキューバのハバナで爆発事故により沈没、これがきっかけで米国世論は激昂し、アメリカとスペインの間で戦争が勃発した。米西戦争であり、戦争の結果キューバはスペインからの独立を果す。一方でアメリカはグアンタナモをキューバから永久租借する事となる。

メイン号事件が米西戦争のきっかけではあったが、実はその前から米国ではマスコミの過激な報道により対スペイン強硬路線の世論が形成されていた。イエロージャーナリズムと呼ばれるもので、捏造記事まで交えて、スペインは植民地で残虐な事をしているなど大衆を扇動していた。そしてメイン号沈没をスペイン側の仕業だと決めつけ、開戦を実現したのである。

米西戦争は何故か太平洋の西の方に飛び火する。両国が戦争状態なのだから別に戦闘がキューバに限定されないのは不思議ではないが、奇妙な話ではある。アメリカはフィリピンのスペイン軍を攻撃し、フィリピンをスペインから奪って植民地とした。

グアム島は非常に大雑把に言うと、経度では釧路、緯度ではマニラと同じくらいの所に位置している。つまり、アメリカ本土からはかなり離れている。この島もスペインの植民地であったが、米西戦争のさなか、アメリカがスペイン軍を降伏させ、植民地とした。

第二次世界大戦中は一時日本軍に占領されたが、戦後は準州としてアメリカの一部になっている。

ところで、米西戦争は、日本史の面では日清戦争と日露戦争の間の時期である。一部の左翼は日本の「軍国主義」が日露戦争あるいは日清戦争の時から始まったかのように主張する事があるが、正にその同時代にアメリカは植民地獲得の戦争を敢行していたのである。そもそもアメリカだけではない。フランス、オランダ、イギリス、ドイツなど欧米列強が植民地経営を行なっていた植民地時代だったのである。当時の日本が富国強兵で軍備を拡充させていたのは当然の事であった。

アメリカは米西戦争でフィリピン、グアムを獲得した後、敵対のターゲットをスペインから日本に移す。特に日露戦争後は、かつてスペインに対してやっていたような反日扇動を始め、日本に対する圧力を強めていく。日系移民に対する排斥は満州事変の前から始まっていたのだ。そして支那事変頃から捏造のプロパガンダ記事を撒き散らすようになる。

太平洋戦争で大日本帝国を壊滅させたアメリカは、なぜか中国共産党の大陸支配は許し、ソ連を次なる敵対国と定める。冷戦時代は人々も賢くなっていたら、出鱈目な反共プロパガンダは無理であったが、それでもソ連をバカにするような映画が多数つくられた。そしてソ連崩壊後はイスラム過激派をターゲットにするようになった。

話を元に戻すと、グアムは遠い昔からアメリカの領土だったわけではなく、伊藤博文が首相だったころにスペインから戦争で奪い取ったものだったのである。