停滞期に入ったネット経由の右傾化

個人的な話だが、最近保守系のサイトをあまり見なくなった。以前は、色々な発見があって、新しい知識を吸収し、どんどん右傾化していったものだが、今では自分自身がすっかり保守派の視点で見てしまうので、意外性やら驚き、今迄の価値観に対する衝撃というものが無くなってしまった。

それはそれで保守系サイトから遠ざかった理由だと思うのだが、実はもっとくだらない事が原因だ。パソコンの設定を変更していると、履歴やらリンクやらが消えてしまったのだ。面倒なのでリンクを回復せずに、しばらくYahooやらgooなどのポータルサイトからニュースを読んでいたのだが、そうすると保守系のサイトには全く到着しないのだ。リンクを辿って到着する保守系の情報源は、産経新聞やらいくつかの週刊紙に限られる。逆に最近では左翼系のリンクに辿りつく事が多い。

昨年はネット世論の実力がだいたい判明した一年であった。東京都知事選で、田母神俊雄はネットでは圧倒的支持を得ていたが、結果はそこそこの支持、という程度だった。同じくネットでの支持が高かった次世代の党は衆議院選挙で惨憺たる結果に終った。

その効果なのかもしれない。最近ではポータルサイトの内容に左翼系の記事が目立つようになっている。安倍政権の圧倒的支持率のもとで沈黙していた勢力が、反転攻勢をかけようというのだろうか。

ここ数年の右傾化は、2010年9月7日の尖閣沖での衝突事件と2012年8月10日の韓国大統領竹島上陸、そして数年来の従軍慰安婦問題が大きなきっかけとなっている。こられの事件でネットから色々情報を得ているうちに、今まで知らなかった史実に触れ、右傾化していったのである。しかし、その流れは常に補充さえるものではなく、話題が途切れれば新たな参加者も減っていくのだ。

インターネットは、普通に利用している範囲では右傾化のきっかけとなる情報に到着する事は稀である。多くの人はレストランの食事の写真を撮ってブログやらfacebookなどに載せたり、音楽をダウンロードしたり映画を見たり、趣味として活用している。ニュースを読むのも朝日や読売の大手サイト、yahoo、gooなどのポータルサイトが中心であり、そのような使い方をしている人達が保守系のサイトに出会う確率はかなり低いと言って良い。

共産党シンパだった私がネット転向してしまったのも、かなり偶然によるものだ。たまたま暇な時間と貴重なサイトとの出会いがなかったら、今ごろはYahooと朝日と日経ぐらいしかニュースソースが無く、心情的左翼であっても政治には興味を持たない中立派として過していた可能性もある。そして、恐らくそれは大多数の日本人の、ごく普通の態度だと思う。

現在、おそらく右傾化予備軍というのは概ね払底してしまい、今後世論形成の中では横ばい状態を続けるだろう。もちろん、時間とともに覚醒していく人は一定の割合で存在するが、急激な増加は見込めそうにない。同時に嫌韓という感情には疲れを伴うから、これも徐々に減少していく事だろう。