嫌韓の元祖は日本共産党

今ではすっかり親韓政党となってしまった日本共産党であるが、かつては北朝鮮に近い関係にある党であり、軍事政権が続いた韓国には批判的であった。しかし北朝鮮の度重なる国家テロ(ラングーン爆破事件、大韓航空機爆破事件、そして日本人拉致)により立場が悪くなると、慰安婦問題を活用するため韓国寄りの姿勢を明確にするようになった。

さて、以下に紹介するのは昭和62年(1987年)1月29日の赤旗新聞記事である。今日なら産経新聞が記事にして、嫌韓派がネットで盛り上がりそうな記事である。昭和62年というと、北朝鮮工作員による大韓航空機爆破事件が11月29日に発生したが、まだ社会主義陣営は崩壊しておらず、まだまだ冷戦が続いていた頃である。

なんとNHKが子会社通じ韓国に下請け発注

産業の空洞化に手貸すのか

NHKが子会社のNHKエンタープライズ社を通じて、アニメ制作の一部を韓国の下請けに出す計画が明らかになりました。アニメ労働者の間からは「NHKが産業の空洞化に手を貸すものだ」と批判。日本のアニメ制作会社の中からは、NHKエンタープライズ社が著作権などの諸権利を保有しようとしていることについて、「営業的に引き合わない」と不満の声があがっています。NHKとNHKエンタープライズ社が、東京・渋谷のNHK放送センターで、新しいアニメ番組の制作について説明会を開いたのは、今月二十日のこと。日本のアニメ制作会社十七社の代表、約三十人が集まりました。

アニメ会社の主体性を無視

これまでの方式は、NHKがアニメ会社に制作を注文し、その放送権を買い上げるというもの。著作権はアニメ会社に残るので、NHKに売るだけでは引き合わなかったアニメ会社側は、海外への販売、民放での再放送、登場人物の商品化などで帳じりを合わせていました。

ところが今回は、NHKが企画、子会社であるNHKエンタープライズ社が制作するというもの。しかも、実質的なアニメ制作を日本のアニメ会社と韓国のアニメ会社に分担させるというのです。これでは、日本のアニメ会社に著作権は残りません。

説明会の席で配布された文書のなかで、NHKエンタープライズ社は「このテレビアニメーションシリーズから生まれるあらゆる権利について、保有・代行したいという意向をもっている」と明記しています。

日本映画放送産業労働組合(映産労)の有原誠治副委員長は「NHKの子会社が著作権を保有し、これまで残された”うまみ”を横取りするのはひどい」と語ります。

新しいアニメ番組は「三銃士」(仮題)。二十五分もの五十二本を二月中旬から制作開始し、五月五日に一本だけ先行する番組を放送、十月から連続放送を始めるとしています。二月上旬にも制作参加会社を内定する予定です。
なんとも急な話ですが、翻訳・脚色者はNHKエンタープライズ社がすでに選定し、作業を進めており、アニメ会社の主体性は無視された格好。

「商売にならない」と業者たち

主人公のダルタニヤンの性格についても、「正義感、おもいやりの心にあふれ、人に好かれる。弱者を傷つけず、日本武士の精神が流れている」と、あらかじめ指定しています。

しかし、制作条件は「弱者を傷つけない、思いやりのある」主人公とは大違い。アニメ業者の中からは「NHKの作品は質の高さを要求される。二十五分ものなら登場人物を描くセルは通常の四千枚にたいし、八千枚を要求される。制作費がこれまで程度なら、著作権を失うと商売にならない」という不満の声が聞かれます。

さらに問題なのは、韓国への下請けを条件としていことです。

日本のアニメ会社の作業内容は、キャラクター・デザインなどの設定から原画、音声制作の比較的、創造的な部分。一方、韓国側の分担は、動画制作、色ぬり、背景制作、撮影、現像、編集など、手作業で量産可能な部分です。韓国側の作業については、日本側が「指導とチェック」をするとしています。

日本の大手アニメ制作会社の中には、安い労働力を求めて、韓国や台湾に下請け発注するところが出ています。

ところが、こんどはNHKまでが韓国に下請けに出すというのです。

背景にソウル五輪放送権料?

有原さんは「韓国側に原画作成から編集までやらせるとなると、制作費のかならいの部分が韓国側に落ちることになる。日本のアニメ技術者はの力を持ているのに、それにかかわれない。産業の空洞化を地でいくようなものだ。NHKの公共的性格、社会的役割を考えれば、とうていできないはずのひどいやり方だ。ただでさえ、アニメ業界は円高不況で息の根を止められるような状況になるのに・・・」と批判しています。

それにしても、なぜNHKは今回のような方法をとったのか。たんに採算優先の「合理化」に目的があるだけでなく、別な背景があるとする見方も出ています。

韓国側が高額を要求しているソウル五輪の放送権料交渉を有利にするため、韓国へのアニメ制作下請け方針を決めたのではないか、という見方がそれです。

これにたいし、NHK側は「十月から始まる番組なので、いまのところ、なにもお話しすることはない」(広報室)と沈黙を守っています。

大変ショック

アニメ番組の放送を要請してきた新日本婦人の会東京都本部の森川玉枝副会長の話
子どもの成長にとって大切な、豊かな情緒を養う文化の問題を、経済効率を優先して考えるようなことに、大変ショッックを感じました。NHKのアニメは、私たちとアニメ労働者らが要望したこともあって、実現したものです。これまでNHKアニメは、手抜きのない美しい画面で、親も子も安心して見られるものでした。受信料を払っている私たちとしては、そのお金をよい文化を普及し、よい番組をつくるために使っていただきたいと思います。最近も、よいアニメを放送していただくよう要望していました。しかし、韓国に下請けに出したり、日本のアニメの振興にあまり役立たないような、こういうやり方でかえてくるのは、がっかりです。

赤旗(1987年1月29日)