「ライダイハン」は忘れるべき

最近ネットではベトナム戦争における韓国軍の蛮行、とりわけベトナム人女性を強姦して生ませた混血児を問題にする論調が目立つ。ネットだけでなく週刊誌まで取り上げるようになっている。従軍慰安婦問題で騒ぐ韓国に対して自国の歴史を直視せよという話なのだが、この問題は日本側から騒ぐべきものではない。

一般論として、確かに戦時の強姦による混血児の出生は軍隊のモラルが問われる重大問題であり、特に韓国軍兵士によるベトナム人女性の人権蹂躙は糾弾されてしかるべきである。

しかしながら、生まれてきた子供には何の罪もない。日本でも戦後、米兵との間で多くの混血児が生まれたが、その事実をもって米軍の占領政策を非難できても、あまりその問題を取り上げると、実際に生れ育って日本社会に日本人として生活している人達を非難する事になりかねない。一時期、日本人男性とフィリピン人女性の間で生れた子供の数が増大している事が話題となったが、これも問題化する際には子供達の人権を最大に考慮すべきなのである。

大航海時代、スペイン人はアメリカ大陸で現地の男を徹底的に弾圧し、現地女性との間に多数の混血児を生み出した。これは、非難される事ではあっても、現に混血が多数を占めるラテンアメリカの国々でこの問題を大きく騒ぐと、かえって差別を助長しかねないし、恐らくは問題だと騒いだ側が煙たがれる結果となろう。

日本はベトナムとは友好関係を築けるし、ベトナム戦争の歴史を通して平和の尊さを学ぶという意味でも韓国軍が犯した残虐な事件を歴史として教え続ける事は重要だ。だが、いわゆるライタイハン問題に着目してそれを宣伝し過ぎると、今では平和に暮しているこれら人々の心を傷つける事になり、ベトナムとの関係悪化にもなりかねない。

韓国の執拗な反日攻勢に、日本の世論も余裕を無くしている。しかし韓国以外の国を話題にする時には、すこし落ち着いて相手側の立場で物を考える必要があるだろう。ライダイハン問題は韓国に対する悪口以上にはならない。この問題でベトナム側が日本と協力する事はあり得ないのだ。