2020年代には中国の軍事費が日本の10倍になる

中国の軍事費の伸びと日本の防衛費の比較
出典:ストックホルム国際平和研究所

かつて日本の防衛予算がGDPの1%を超えるか超えないかで日本共産党が大騒ぎしていた時代があった。一度1%の枠を超えると、後は際限なく軍事費の増大につながる、との主張だ。冷戦末期の1986年、中曽根政権は1%枠の撤廃を決定した。

結果はどうだったか。1%枠を撤廃後、四半世紀を経過して、日本の防衛費はいまだに1%のままである。

中国の軍事費の増大は経済成長にあわせて、近年急激に増加している。名目GDPで見ると、年率10%の伸びを継続している。年間10%の伸びというのは、8年間で倍に、10年間で2.5倍に、そして25年で10倍になる伸びだ。

日本が経済の低成長を続け、中国がこのままのペースで軍事費を増大させると、2020年代には中国の軍事費が日本の10倍となってしまう。アジア情勢は全く別世界の状態に突入するのである。

グラフを見れば分かるが、中国の軍事費が日本を超えたのは2005年、今から10年前である。それより以前、左翼は中国は日本より軍事費が小さく、むしろ日本が軍事大国だと批判していた。最近では一人あたりの軍事支出で比較するようになっている。しかし、それもやがて中国が日本を上回るであろう。

中国の人口あたり軍事費は、現在日本の約半分だ。つまり中国の軍事費が今の2倍になる時、人口では日本と同じ水準になる。そして、それは2020年代なのである。

現在、日本は技術的優位性を有しているが、軍事力の最新技術はすぐに陳腐化して次の世代に交代するものだ。今後10年間は、質でも量でも中国軍が自衛隊を凌駕するようになる時代となろう。

予言しておこう。中国は2020年の東京オリンピックの年に、太平洋で日本を挑発し、中国の制海権を誇示するような行動を起すであろう。中国にとって、現在の軍事費の伸びがあれば可能である。日本は世界友好の象徴であるオリンピックの年に中国と緊張を高める事は出来ず、厳しい対応を迫られる事になるだろう。

現在議論となっている安保法制は複雑怪奇で、必ずしも良い法制度とは言えないが、今日米安保を強化しておかなければ、2020年代には「服従か、それとも死か」というような極端な議論で国論が分断する事になるだろう。

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アメリカは衰退しつつある大国であるが、常に技術革新で覇権を維持してきた。冷戦終了の時は、日本の自動車にも家電製品にも勝てない技術敗北国家であったが、日本が技術立国に陶酔している間にIT革命を実現させ、スマホなど生活を一変させるような発明をしてきた。

冊封体制の確立を目指し、市民に銃口を向け、他民族を弾圧し、民意も低い中国の軍門に下るよりは、アメリカと同じ自由と民主主義の側につく方が日本にとっては得策なのである。