今日はちょっといつもと違う話題である。
今年(2015年)末に仙台地下鉄東西線が開業する予定らしい。仙台市交通局のHPによると、東西線は大江戸線と同じシステムで、全長14.4km、13駅が建設される。総建設費は2,298億円だ。
仙台の東西線建設は、反対派が随分長いこと抗議してきたようだ。2005年、つまり今から10年前の市長選では建設の是非が争点となった。反対派の意見をネットで探してみると、いろいろ意見はあるが、巨額の建設費が問題となったようだ。
2,300億円というのは、地下鉄が1本建設される規模の投資である。プロ野球の球場は500億円のオーダーであり、サッカー場のスタジアムもそんなものだ。スカイツリーの建設は650億円。東京都庁となると1,500億円の規模になる。六本木ヒルズになると2,700億円である。
何が言いたいのかというと、今話題の新国立競技場だ。今日のニュースで、計画変更はせず、ただし事業費は変更して2,520億円で決定したとの事である。最終的にはもっと膨らむであろう。六本木ヒルズの事業費を超過する事は間違いない。上手にやれば競技場1ヶ所と地下鉄1本を建設できるお金で、外国人の設計事務所を儲けさせてオリンピック後は維持管理費を馬鹿喰いする施設を建設しようというのである。
仙台市民が、おそらく賛成・反対の議論で膨大なエネルギーを費やしてようやく決定したのが2,300億円の地下鉄だ。乗客数によっては将来的に赤字となって市の財政を圧迫しかねない規模の投資であり、将来の世代に負担を残しかねない事業であるが、民主的プロセスを経て、いわば市民が決定したようなものだ。
一方、新国立競技場はどうであるか。国立競技場がオリンピック後に使用料だけで投資を回収できるとは、とても思えない。そもそも年間の維持管理費をまかなえるかも疑問だ。通常の競技場だと500億円のオーダーとすれば、今回のデザインで余計に支払わなければならない金額は2,000億円だ。こんな無駄な金が、今の日本のどこにあると言うのか。
これは、JSC、日本スポーツ振興会なる団体が、国民不在の状況で決定した事である。資金は一体どこから湧いて出てくるのか。JSCが今後スポーツ協議の収入だけで払っていけると思っているのか。もちろん、JSCが全額負担するのではなく、国民負担となるのである。
日本は発展途上国にODAとして2000億円程度の資金はホイホイ提供する。しかし、これはローンであり、やがて返済されるものである。外見だけのために2000億円を余分に支出するというのは、狂気の沙汰である。
最近の安倍政権は失速状態にある。それも安保法制など突破すべき事で抵抗に遭って傷ついている、というなら救いはある。しかし、つまらない所でボロボロとつまずいていては、本当に必要な政策が実施できなくなってしまう。
世界遺産登録で見せた外交上の大失敗と、新国立協議場建設の無駄使いは、次の世代に深刻な負担となる。そして、それは後になって気がつくというものではなく、今この時点で人々に認識されている事なのだ。
ところで、日本のスポーツ界は、本来は使えるはずだった2,000億円相当のスポーツ振興費用を今後は諦めてもらいたいものだ。