戦争後の朝鮮人に対する生活保護問題について、これまで朝日新聞や時事新報の記事を紹介してきたが、今回は毎日新聞である。毎日新聞は、かつて「白い手黄色い手」という名の特集記事を掲載していたが、その第23回で朝鮮人の生活保護問題を取り上げている。昭和31年4月3日の事である。
日本の財布はねらわれている 食いつぶされる税金
年に25億円消える エサにされた生活保護費 集団でインチキ受給税金が納められないといって首をくくった者がいた。一家心中の悲劇もあた。多くは善良な気の弱い人たちだった。だがこの人たちは悲劇の一歩手前で、もっと別な生き方を見つけ出すことができなかったものだろうか。税金--これは国民の上におも苦しくのしかかっているものの一つである。しかしこの税金のうち毎年二十五億円が、日本人のためでなく在日外国人の貧困者救済のために使われていると聞いたら、ちょっと驚く人もあるだろう。
国際的な慣例からすれば、こうした場合、当然国外追放の憂目をみるはずの彼らは「生活保護」という名の手当を日本政府から受けてノホホンと暮している。昨年十一月、警視庁保安課で台東区浅草松清町100通称東本願寺部落のボス藤波隆之こと朝鮮人金永吉(28)を薬事法違反の疑いで検挙した。数年間にわたって日本橋の薬品問屋から不正にチクロバンを入手し、中毒患者に流して暴利を得ていたのである。純な子供をタネに
ところが調べが進むにつれ、彼が二十五万円余の預金通帳を持ちながら医療扶助を受けていたことがわかった。二十八年五月二女金順玉(当時三才)の治療のため台東福祉事務所から給付を受けたのを皮切りに、昨年九月までの二年四ヶ月間、一日としてとぎれたことなく五人の子どもをつぎつぎに病人に仕立て合計五百三十二点、十六万三千円をもらっていたのだ。永吉が捕って間もなく妻の金貞姫(22)もまた詐欺容疑で捕った。医療扶助申請の主役は彼女だったからである。「夫は行商に出かけたきりで仕送りもなく、子供の病気の面倒をみられない」-これが福祉事務所の窓口での彼女の泣き言。証拠を押えられないために夫の住所は荒川区日暮里二丁目に移してあった。さらに驚いたことには貞姫が捕った翌日、永吉の弟が「残った子供がかわいそうで・・・」とふたたび生活保護を申し出た。これは一しゅうされたがずいぶん人を食った話もあったものである。
日本人よりも多額
現在、外国人も含めて日本全国の被保護世帯は六十六万八千七百四十八世帯、被保護者数百九十五万四百十名。外国人では朝鮮人が圧倒的に多く、朝鮮人五十七万千百六十八名のうち、被保護世帯は三万九百二十世帯、被保護者数十三万七千三百四十名で、被保護率は二四パーセントだ。四人に一人が保護を受けているわけだ。被保護率だけでなく金額にしても、朝鮮人の受ける一ヶ月の生活保護費は二億千百五十万円で年二十五億円余、日本が計上している全保護費の五・七パーセントにあたる。月額にすれば日本人一人は七百八十九円だが、朝鮮人は一日平均千五百三十八円もらって約倍額でもある。被保護率、給付額のこの不公平-「日本にプジャード党(フランスの反税政党)が出現しないのがふしぎなくらいですよ」と当局者のひとりがボソリともらした。
むずかしい収入調べ
ではなぜん日本人に薄く、朝鮮人に厚いのか。まず風俗、習慣、生活の相違による収入○○調査の困難がある。彼らのうち何人かがやっているチクロバンやトロポンの密売、ドブロクの密造、また○○品の横流しを彼らが○○として届けないのはもちろん正業として認め難い。彼らの住居が集団化しており、巧みな集団指導で一斉に「右へならえ」の受給もする。それに日本人に比べて就労率の低いのも原因の一つ。
しかしこれには○○すべき点もある。戦時中、多くの朝鮮人が強制的に徴用されて鉱山や工場で働かされた。そして敗戦と同時に彼らはほとんど裸一貫で街に放り出された。技術を身につけている者以外は、その日から食うに困った。厚生省ではこのほど労働省に対して、日本人よりとくに優先させないことを条件に「福祉事務所と連絡を強化して朝鮮人の就労をあっせんしてほしい」と申し入れたが、使用者が朝鮮人を毛ぎらいする傾向と、それに朝鮮人自身働くことを拒む者もあるため、効果はまだあがっていないようだ。たとえばニコヨンの適正検査で握力計に十分力を入れず、わざと失格するというぐあいだ。在朝連でも頭痛の種
一部の不心得者が朝鮮人全体の○○に重大な○○○を与えていることは見逃せない。在日朝鮮人総連合会ではこうした朝鮮人の職業指導と、日本人との融和について全国的に活動を行っているが、被保護世帯の増加と、不正受給は最近かなり表面化してきている。昨年末には国会の社会労働委員会にもとりあげられ、各府県とも一斉に監査の強化に乗り出したが、京都府、三重県では不正受給が半数にもおよんだ。メカケを持ったり、オート三輪車二台をもって運送屋開業中だったり、電器を持つ者もかなりあった。都でも枝川町四百七十世帯のうち被保護百七十世帯の調査を行い、いま個々のケースにつき検討中である。
政府の弱腰も原因
だが、問題は日本人自身にもある。敗戦による極端な自己卑下が外国人の特権意識をはびこらせる結果となった。生活保護法第一条には「生活に困窮するすべての国民に対して」となっており保護を受けるのは日本国籍を持った者に限られている。ただ二十六年十一月、厚生省社会局長通牒で「朝鮮人その他、いままで生活保護を受けていた者に対して人道的に救済する必要があれば、実施要○に准じて扱ってもよい」という一片の通達があるきりだ。理由は困窮外国人を放置するのは社会的、人道的にも妥当でなく、治安上にも種々の問題を引起すおそれがあり、また現在係争中の外交関係を固定させる結果となりかねないというにある。李ライン問題、竹島問題、朝鮮人送還問題などすべてにつながる政府の弱腰が人道主義の名で飾られているに過ぎない。都民生局生活保護課や福祉事務所では「彼らの最期の生存権を奪い去るには忍びない。話合いで、せめて日本人なみの線に引き下げたい」といっている。しかし枝川町監査のすぐあと、はやくも福祉事務所やケースワーカー(地区担当者)にはいやがらせ、陳情など圧力がかかってきているという。
もちろん朝鮮人中には税金をキチンと納め、日本人との融和につくしている立派な人が数多くいることは事実だ。しかしとにかく都営鉄筋アパートにして二千五百戸分もの税金がこうして毎年消費されているということは根本的に考えなおす必要がある問題の一つであろう。