現在、イスラム国はシリアとイラクをまたがる地域を支配している。アメリカなどが空爆を続けて弱体化していると言われているが、残虐な統治が続いている。
パリ同時多発テロの後、何故かロシアまで参加してフランス、そしてイリギスも空爆に参加し、そしてドイツも後方支援に加わる事になった。イスラム国に対しては国際的な包囲網が形成されているようであるが、一方でシリア、イラク以外で勢力を拡大している。
リビアのシルトは地中海に面した都市で、今年6月にイスラム国の支配下となった。シリアの地から遠い都市で、一体全体、どこから攻めてきたのか、不思議な感じがするが、事前にシルトの町に工作員や戦闘員を配置した上での周到な準備の結果である。
では、日本である町がごっそり外国人勢力に乗っ取られるような事態は起き得るであろうか。シルトがイスラム国の支配下となったのは、石油を産出するという戦略的な重要性のためである。日本ではすぐに換金できそうなものが入手できる地域というものがなく、あるとすれば工業地帯を丸々抱えこまなければならない。経済基盤を取り込みつつ勢力を拡大するという戦略には合致しないため、イスラム国が日本の都市をターゲットにするとは考えられない。
一方で、イスラム国は自分達の手による実効支配以外にも、イデオロギーによる間接支配も戦略としている。インターネットを上手に利用し、指揮系統の繋りが全く関係のない集団が、イスラム統治の実現に向けてテロ活動を起す事を方針としているようだ。その観点からすると、中東のように具体的な支配地を持たなくとも、それぞれの地域での合法的な枠組みの中で、静かに思想的勢力を拡大し、やがてはその地域を乗っ取るという工作も行うであろう。今年欧州に大量に流れ込んだ難民の集団は、その受け皿となり得る。
ヨーロッパ、そしてアメリカが、そうと分かっていても難民を受け入れる事が出来るのは、テロ対策の制度が整備されてきているからだ。もしXという国がテロを行なったなら、Xの都市を空爆し、支配者を葬り去る事が出来る。それは抑止力の一つだ。TwitterでISISを擁護しただけで逮捕される。そのような強硬な手段があるという事も、多少は中東からの難民を受け入れても平気である理由の一つである。
一方で日本はどうだろう。あるアパートの一室に児童ポルノのビデオが保管されていたら、そこの住民は逮捕される。しかし、部屋一杯にISISの宣伝ビデオがあっても、公安の監視対象にはなるが逮捕はされない。思想だけでは逮捕できないのだ。
アパートの一室一杯にISISの宣伝ビデオを所持していても逮捕されない。では、そのアパート全体がそのような人達で占められていたらどうか。さらには、その街区全体、あるいは町そのものが、ISIS支持者で占められていたとしたらどうなのか。
民主主義国家では、ある特定の思想を持っているというだけでは逮捕されない。例外はヨーロッパのナチス主義・反ユダヤ主義であるが、これは特殊なケースだ。しかし国家を脅かす個人や集団は何とか対処しなければならない。民主主義を毀損しないギリギリの範囲で、テロに対抗してきているのが現在、民主主義国家が直面している問題である。例えば、共謀罪は、その回答の一つである。
日本にはその共謀罪すら成立しない。反対意見が強硬だからだ。テロリストへの適用が、一般市民への適用になるのは許せない、というのが表向きの理由だが、もちろん実態は「中国人に適用されたら困る」というのが真の理由である。
現在の日本では、ある日突然ある町にISISの黒い旗が立ち、「自警団」がイスラムの教えを前提として町行く人々を監視するようになっても、具体的な犯罪を冒さない限り何もできない。
もちろん、イスラム国の浸透以上に確率が高く、実際にも進行しつつあるのが支那人による日本の町の乗っ取り工作である事は言うまでもない。