今年は戦後70年ということで、歴史問題が例年以上に話題となった。中韓による歴史戦が国内言論界に与えた影響も大きい。歴史戦は、実際には領土問題である。韓国は我が国から簒奪した竹島占領を正当化するため、中国は尖閣はじめとした日本の領土侵略を正当化するため、歴史問題を持ち出しているのだ。
また、安保法制の議論では、中国の利益を代弁する左翼が「徴兵制」やら「戦争法案」などというプロパガンダで国民世論を欺いた一年でもあった。さらには従軍慰安婦問題やら軍艦島の話題、そして南京大虐殺という捏造史まで登場し、安倍政権を倒すためなら中韓を利してもかまわないという左翼の売国ぶりが明らかとなった。
一方で北朝鮮については、今年はあまり語られる事がなかった。拉致問題解決の交渉が停滞しているためであるが、政府は制裁措置を強化もせず、対話の開始もせず、結局何もしなかった。
政府の側だけに問題があるのではない。国民の意識が拉致問題から離れてきている、というのも事実である。何しろ北朝鮮による拘束されたままの横田めぐみさんが拉致されたのは1977年、すなわち今から38年前のことである。大日本帝国が大韓帝国を合法的に合併したのは1910年で、その後日本が朝鮮半島の統治を放棄したのは1945年である。つまり、日韓合邦期は35年間であった。北朝鮮によって拉致された人は、それよりも長い期間、北朝鮮に拘束されたままなのだ。
一部の左翼、そして大半の朝鮮人は、日本による朝鮮の植民地支配に対する謝罪や反省・補償がないことが問題だ、として、あたかも罪を罪で相殺すべきかのような主張をしている。これは朝鮮人に顕著な考え方で、自分の主張を通すためなら何をやっても許されるという思想だ。産経新聞の支局長を不当に拘束して起訴し、無罪にしたから日本は譲歩しろ、という異様な発想も同じである。反日無罪、というわけである。
私が北朝鮮による拉致の期間と日韓合邦期の長さを比較しているのは、拉致された人々の拘束期間の長さをイメージしてもらうためだ。日韓合邦は非難されるべきものではなく、日本が謝罪すべきものでもない。もし日韓合邦を罪と見做して朝鮮・韓国の日本に対する不当行為と比較するとすれば、それは左翼の妄想史観であると同時に、罪を罪で正当化するという半島人の発想だ。
話を戻す。北朝鮮による拉致は当初は奇妙な失踪事件として関心も低かったが、20年後になって真相が明らかになるようになり、そして2002年に北朝鮮が拉致を認めるに至った。
拉致問題は、北朝鮮を支持してきた社会党はじめとする左翼勢力には大きな打撃であったが、同時に彼らが歴史問題を重視するきっかけともなる。これは、共産主義対自由主義というイデオロギーに敗北したというのも要因としては大きいが、日本よりも朝鮮の方が好きという左翼が、朝鮮の利益を守るために拉致問題の相対化を狙い、歴史問題を騒ぐようになったのである。
そして、拉致被害者のうち5人が帰国してから13年である。この間、確かに社会党は壊滅したが、反日左翼は着実に勢力を伸ばしている。時間の経過は日本にとって不利な要素となっている。在日中国人の増加にともない、中国による日本国内の世論工作が静かに、そして確実に浸透してきてきるからだ。