歴史の転換期に大きなミス。靖国参拝も不可能に

第二次世界大戦の終了から70年を経過した。途中、平成から昭和に移行したが、日本は占領期に押し付けられた戦後史観から抜け出せないままであり、2015年は戦後70年談話なるものが発表された。

一方で、この70年間は冷戦前後に時代区分する事が出来る。偶然にも昭和と平成の境に一致している。戦争の終結は欧米列強による植民地支配の終了をもたらしたが、米ソが大量の核兵器で向きあう冷戦構造を生みだした。1989年つまり平成元年のベルリンの壁崩壊により、イデオロギー対立が終結し、世界では民主化が進行した。

日本では冷戦後、中国人や韓国人が大量に流入し、様々な分野で国際化が進んだ。バブル経済が崩壊して日本はゼロ成長の時代に入り、自民党と社会党が対立する戦後の55年体制は崩れるなど、戦後の昭和とは異なる時代に突入したのだった。

しかし、イデオロギー的には左右の対立が残り、いわゆる戦後レジームが継続する事になった。共産主義・社会主義に代えて左翼が持ち出してきたのが歴史問題であり、特に従軍慰安婦問題を政治問題化する事で外圧を利用した反日活動を継続したのだった。そして、その到達点が2009年の民主党政権の登場だったのである。

中国では1989年に天安門事件が起きるが、平成を通して経済が拡大し、2010年には中国のGDPが日本を抜き世界2位となり、政治面・軍事面でも大国となる。

2012年末、民主党政権への失望により安倍政権が登場した。中国・韓国への反発による保守化も要因の一つではあったが、ここ数年の世論動向を見ると「右傾化」は微弱であり、政策や思想ではなく、人柄や経済で支持されている状態である。

いろいろと分析するとキリが無いので、戦後の主なトピックを図にしてみた。縦方向は時間の経過だ。これを見ると、戦後の中でも平成は随分と長い期間を占める。拉致問題は長期にわたり未解決で、左翼の活動は衰える事なく継続している。

戦後70年時代の転換期

さて、将来は予測困難であるが、現在は覇権交代期にある事は言えるだろう。アメリカの凋落と中国の成長が目立つからだ。日本では在日韓国人・朝鮮人の帰化が進行し、同時に在日中国人も日本の中に入り込んでくる。時間の経過は、日本としての独立性を維持するうえで不利な要素である。したがって、今この時期に日本国の姿を正しいものにしなければならない。つまりは戦後レジームからの脱却だ。

この時期に自民党政権であることは幸いであるが、同時にリスクもある。民主党政権であれば中韓に強行な姿勢を見せなければ国民の支持を失うが、自民党政権が対中・対韓国で融和姿勢を見せても見過される。そして今年、軍艦島の世界遺産登録に関連して「強制労働」を英語で認めるという大失態を犯し、年の瀬には従軍慰安婦の虚構である軍による強制連行を認めた形となった。

国内向けの説明は日本語の世界で弁解できるかもしれないが、国際的に英語で発信した内容は、日本政府が正式に強制労働や強制連行を認めた内容となっている。これからの数十年間は、左翼による反日活動の材料として利用される事になるだろう。炭鉱労働や従軍慰安婦問題は韓国側が捏造である事を認めない限り、最終解決は絶対に無い事案なのである。

日韓合意が東アジア安全保障を考慮したアメリカの圧力によるものである事は間違いない。すると今回の日韓合意以降、日本は日韓関係を悪化させるような事は何もできなくなる。日韓関係の悪化はいつも韓国側の難癖で始まるものだが、今後の安倍政権は韓国世論を気にした政権運営を強いられる事になり、当然、靖国神社への参拝は政治リスクが高くなる。