コリアン流の人質外交に翻弄される日本

北朝鮮によるミサイル実験(2月7日)を受け、日本政府は制裁強化を決定した。これを受けて朝鮮総連は制裁強化を批判し、ミサイル実験ではなく人工衛星の打ち上げだとする北朝鮮見解を日本のメディアに伝達するとともに、拉致被害者調査の再調査をめぐる日朝合意の一方的破棄だと主張した。

北朝鮮が、大気圏に再突入しないロケットを打ち上げ、宇宙空間の軌道に何らかの物体を乗せたのは確かなようだ。しかし、それがミサイルなのか、ロケットなのかという議論の前に、そもそも北朝鮮が何故、人工衛星の打ち上げすら国連決議に違反する行為となるのかを考えるべきだ。

10年前、2006年10月6日に北朝鮮は核実験を強行した。日本の左翼は、共産主義国の核保有は正義と考えているからピンと来ないかもしれないが、北朝鮮の核実験は国際社会を敵に回す大事件なのである。この核実験の結果、当然の帰結として北朝鮮は国連決議により、ミサイル開発につながるようなロケット開発が出来なくなったのである。

これは、性犯罪者やストーカーが、犯罪とは関係なさそうな自由でさえ規制される事に似ている。国際社会を挑発するような核実験を強行する国に、たとえ平和目的であったとしても核兵器を運搬する用途に転用可能なロケット打ち上げは許されないのである。

しかも、北朝鮮は今回1月6日に水爆実験を行なっている。だから、「ミサイルではなく人工衛星打ち上げロケットだから良い」という朝鮮総連の主張は「ストーカーだって暴力団だって外出の自由がある」とうそぶいているようなものだ。

さて、北朝鮮は日本の制裁強化に反発し、拉致事件の再調査中止を決定した。これについて日本の左翼は「制裁強化が拉致問題の解決を困難にした」などと日本側を非難するという異様な言動を繰り返している。

日本の制裁強化が拉致の再調査を中断させた元凶だ、という主張が罷り通るなら、北朝鮮が再調査を続けている限り、北朝鮮はやりたい放題、何でも出来るという事になる。

家の壁に落書きが見つかった。隣家の息子の仕業である事は間違いない。隣家の両親は調査して事実なら子供に謝罪させると約束した。ところがある日から、隣家で騒音の激しい
パーティーが深夜まで続くようになったため、抗議した。すると隣家の両親は、それなら落書きの調査はしない、と言って開き直ってしまった。

こんな例を考えたのだが、北朝鮮の例はもっと単純だ。それは、要するにコリアン民族が得意とする人質外交である。

日本人を拉致し、返して欲しければ要求を飲め、と主張する。そして人質をキープしている間は、正にやりたい放題だ。日本が怒って抗議すると、人質変換を平然と拒否する。

これは竹島問題でも発生した事であり、韓国は日本人漁民を拉致拘束、監禁して、それを人質に対日外交を進めたのである。北朝鮮の今回の対応も同じだ。彼等にとって拉致の再調査とはすなわち、人質を使った対日脅迫外交なのであり、コリアン流の戦術なのである。