ヘイトスピーチ規制法で本邦外出身者扱いにされた在日朝鮮人韓国人たち

「川崎ヘイトデモ」と言えば何の話だか分かるだろう。報道内容が一方的過ぎてデモ主催者側の言い分が公平に伝えられていないので判断が難しいところであるが、ポイントは、各種メディアが成立したばかりのヘイトスピーチ規制法とからめて報道している点だ。

法律には、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消の必要性について、国民に
周知し、その理解を深めることを目的とする広報その他の啓発活動を実施する」とあるので、その一環として、たとえ正当な、そしてヘイトではないデモであってもスケープゴートを仕立て、大規模なニュースにしたのであろう。

さて、ヘイトスピーチ規制法は、正しくは「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」である。内容は、わざわざ法律のするほどのものか、という程度のものであるが、聞き慣れない用語が使われている。それは「本邦外出身者」という表現である。

「本邦外出身者」は、法律の中では「専ら本邦の域外にある国若しくは地域の出身である者又はその子孫であって適法に居住するもの」とある。

日本国籍を有する日本人には、出身は本邦外であっても日本に帰化した者も大勢いる。中には、熱烈な愛国主義者であっても先祖は外国出身であるという者もいるだろう。数世代前の先祖がどこで何をしていたか分からぬ日本人も多いから、ひょっとしたら生粋の日本人だと思い込んでいる貴方も、先祖は本邦外であるかもしれない。

そうすると、日本人も本邦外出身者となる可能性がある、という事になる。つまり日の丸を掲げて愛国的デモをしている人達に罵声を浴びせる左翼の言動も、ヘイトスピーチ規制法の対象となるという事である。

もちろん、これは法律の意図するところではない。法律の成立経緯から考えると、本邦外出身者とは、在日朝鮮人・韓国人を想定している事は間違いない。

近年、メディアが率先して在日朝鮮人・韓国人のことを在日コリアンと呼ぶようになっている。朝鮮人でも韓国人でもなく日本人でもないが、共生社会という美名のもと、日本を構成する民族という意味が込められているようだ。しかし、今回の法律が示しているものは、彼等は日本社会の中では「本邦外出身者」という別の集団である、という事である。

せっかく日本の社会に溶け込もうとしているのに、在日朝鮮人・韓国人らは所詮、「本邦外出身者」なのである。それを、今回の法律は改めて突き付けた形だ。彼等は日本でいくら世代を重ねようとも、永遠に本邦外出身者なのである。

ヘイトスピーチ規制法により、日本の社会は「本邦出身者」と「本邦外出身者」に分断された.今後はメディアによる「本邦出身者=加害者側・支配層」と「本邦外出身者=被害者側・被支配層」というステレオタイプ形成が進むだろう。それは外国勢力による対日間接侵略の一部である。つまり日本人であること自体が、悪であるという世の中である。

ヘイトスピーチを巡る論争は今後も続くだろうが、苦悩が続くのはむしろ「本邦出身者」である。そうした流れのなか、「本邦外出身者」は、やがて新たな差別用語となるであろう。政治の妥協で捻り出された用語が、次の時代の対立を生み出すことになってしまうのである。