森友学園騒動でマスコミが解明しなかった事

今年の2月から4月にかけて森友学園問題が国内政治を騒がせた。結果的に政権側には全く問題はなく、マスコミや左翼が不正の証言者として期待した籠池氏サイドの杜撰な学校経営が明らかとなり、マスコミが加計学園騒動に軸足を移す中、この話題は終焉した。

マスコミは森友学園問題を精力的に取材したが、国有地売却に関連する不正は見つからず、印象操作としては手詰りの状況になり、加計学園取材に移行したのである。

左派系メディアの倒閣偏向報道がもたらす民主主義の危機

しかしながら、森友学園騒動ではいくつかの点が疑問として残されたままだ。その一つは、「学校用地の地下にあった大量の廃棄物は、いつ、誰が持ち込んだのか」というものだ。

対象となっている土地は、豊中市が施行主体となっている野田地区土地区画整理事業で整備された土地であり、国が大阪国際空港の騒音補償のために買い取っていた土地と引き換えに取得した土地である。

土地区画整理事業では、事業前に保有してた土地と、事業後に保有する事になる土地の間で、価格のバランスが取れるよう、各人の土地をシャッフルする。地権者の土地を入れ替えたり、削ったり、足したりする。

野田地区土地区画整理事業は平成8年に事業認可され、平成17年に換地処分(シャッフルの終了)されている。この事業により、国は補償のために買い取っていた土地と同等の土地を取得したはずであるが、もし地下に大量の廃棄物が存在する事を知らずに事業を実施したと仮定するなら、国はとんでもない土地を掴まされたという事になる。

一方、対象となる土地に大量の廃棄物がある事が前提として事業が実施されていたとすれば、国が当該土地の価格を事前に理解していた事になり、森友学園の土地取得の過程で生じた混乱は無かったはずであり、したがって今回の騒動は起きなかったはずである。

土地区画整理事業の段階で地下の汚染が把握できないという事は、土地の価格のバランスを保ったまま土地の権利関係を組み換える事業手法の信頼性が損なわれてしまう。

あるいは、長期にわたって未利用地のまま放置している間に、何者かが不法に投機したとすれば、国の管理が杜撰だった事になり、当時の担当官僚の責任問題となる。平成24年の野田政権の時代に、一旦この土地が新関西国際空港株式会社のものになるが、安倍政権発足直後に国土交通省に戻されている。この過程で何かが起きた可能性はないだろうか。

野田土地区画整理事業は、国土交通省にとっては自慢の優良事業である。平成7年に発生した阪神淡路大震災では対象地域も被害を受け、震災復興事業の補助が適用され、また密集住宅市街地整備促進事業とも併用された。市街地再開発事業という別の事業も組み合わせ、長屋建て替えを実現させるなど、国土交通省が積み重ねてきた補助金事業が大成功した例と言って良い。さらに豊中市はこの事業の中で公営住宅を取得している。

しかしネットで色々と検索すると、一つ不明な点がある。それは、今回話題となった森友学園用地は、当初の計画では近隣公園として定められていたのに、いつの間にか国有地売却の用地となった点だ。

土地区画整理事業というのは住民の合意形成が不可欠であり、広大な近隣公園の絵を見せられて賛成した人もいただろう。本来は豊中市が取得し、予定通り近隣公園として整備すべきだったし、そうしていれば今回のような騒動も無かった。

豊中市は、国が格安で譲ってくれるとの思い込みがあったようだが、隣接する野田中央公園を補助金活用により格安で取得できたのだから、森友学園用地だって購入できていた可能性はある。さらに地下にゴミが大量に埋まっている事が事前に分かっていれば、豊中市は当初の絵姿通り、近隣公園として整備できていたと思われる。