日中緑化交流基金に起きた異変

近年、中国は大量の日本人をスパイ容疑、あるいは全く理由が不明なまま拘束している。報道によれば現在12人の日本人が中国当局に拘束されたままだ。

恐しいのは理由が不明な点だけではなく、日本政府が何ら対応をしない点だ。北朝鮮による拉致被害者への対応もそうだが、我が国は外国政府の弾圧に苦しむ自国民に冷淡だ。

中国で拘束された人物には、日中緑化交流基金が進める砂漠の緑化事業に尽力してきた人も含まれる。報道では匿名なので、どの団体に属する人物かは不明であるが、かなりの親中派であるようだ。中国共産党の権力争いに巻き込まれたとの説が有力だ。

さて、日中緑化交流基金と言えば、安倍政権のもと、2015年末に90億円の支出が補正予算で認められた。その後、平成28年度には57件の事業に対し合計4億1450万円の助成が実施されている(相変らず鳩山由紀夫が理事長を努める日本友愛協会が助成対象に入っている)。

ところがである。今年平成29年の7月7日、日中緑化交流基金のホームページに以下のような知らせが掲載された。

平成29年度日中民間緑化協力委員会の委員会資金による助成事業の募集について

日中民間緑化協力委員会の委員会資金による助成事業は、中国で植林緑化協力活動を行う民間団体等を対象に、平成12年度から実施しているところですが、基金残高の現状に鑑み、平成29年度は、平成28年度からの継続事業のみを募集対象とし、新規事業の募集は行わないことといたしますので、ご理解のほどお願いします。

「基金残高の現状」というのは意味不明だ。上記の補正予算90億円とは一体何だったのか。手続きか何かの問題で、基金には支出されなかったのだろうか。

本件、実際に100億円基金体制が維持されたにも拘わらず、わずか1年で助成継続が困難となったのだとすれば、何かが変だし、補正予算が実際には実現しなかったとすれば、政治的な裏がありそうだ。

ネットの情報だけでは不明であるが、ひょっとしたら中国による邦人拘束が影響しているのかもしれない。この件は引き続きウォッチしていくつもりだ。

ところで、大陸緑化について色々とググっていると面白い事が判明した。実は対中ODAは現在も継続しているのである。具体的にはJICA(国際協力機構)が中国への技術協力を実施しており、最近では「環境にやさしい社会構築プロジェクト(大気汚染対策業務)」なるJICA事業を「一般財団法人日本環境衛生センター」が受注している。

中国の大気汚染は日本でも被害が発生しているから、大気汚染対策であれば対中ODAも大丈夫だろうと思ったら大きな間違いである。中国の大気汚染は中国企業だけの問題ではなく、現地に進出している米国やドイツ企業の問題でもある。日本の援助は、中国を助け日本に対抗する欧米企業を支援しているようなものなのである。