半島危機に過剰反応する平和主義者たち

最近、北朝鮮の核ミサイル開発に対する日本国政府の対応を批判している左翼言論人や芸能人が目立つが、明らかに冷静さに欠くヒステリー状態であり、左翼を敵視する私から見ても気の毒で、同じ日本人としていたわってあげたい気持ちになるくらいだ。

その一つにミサイル発射にJアラートを適用する事に対する批判があって、その内容も様々である。中でも滑稽なのは、「過剰反応するな」という過剰反応をしている連中である。憲法9条への信仰と現実の間にあって、頭の回路がぶち切れているようだ。

Jアラートに関しては、地震や津波と違い、北からの弾道ミサイル発射には警報が鳴って数分しか余裕が無く、無価値であるという意見がある。

しかし弾道ミサイルの警告体制に資金を投じる意味はある。たとえ数分であっても「死後の尊厳」を守るには十分な時間だ。ガレキの下からトイレで排泄中の状態で発見されるより、きちんとした身なりの状態で発見される方が死後の尊厳を保てるであろう。数分もあれば用を済ましてズボンを穿くのには困らないだろう。

もちろん、生きる事が最重要である。現在の情勢において北朝鮮が核弾頭搭載ミサイルを直接日本に打ち込む可能性は低い。一方で北朝鮮は威嚇と実験を兼ねたミサイル発射を続けており、実験的要素がある以上、コースを外れて日本の国土を直撃する危険性がある。

模擬弾頭であれば、Jアラート後の対応で生存率を高める事が可能だろう。巨大な物体が何百キロ上空から落下してくるのだから、落下地点は甚大な被害を受ける事になるには間違いない。着弾地点周辺では、弾頭に弾薬が積んで無くとも衝撃で様々なものが飛散する事になる。このような事態に対しては数分の行動で生死を分ける事もある。

北のミサイルに対してJアラートが機能するのは、アメリカの監視衛星のおかげである。日本の技術がいくら高くても、そしてスパイ衛星をいくら飛ばしていても、アメリカの早期警戒衛星による情報収集が無ければミサイルの発射を検知する事はできない。

アメリカが早期警戒衛星網を構築しているのは、核抑止力を維持するためであり、その意味で北のミサイルに対する日本の防衛は米国の核の傘に依存しているのである。

現在、理性を失った左翼は「過剰反応するな」という過剰反応を起し、「対話」を連呼している。しかし北が目指しているものは核兵器と弾道ミサイルの保有であり、その国際的な承認だ。対話が時間かせぎでしかない状況で、左翼は対話の中身すら示せず、右往左往して現実から逃避している。

平和的解決やら対話やら口にするなら、その具体的内容を説明してもらいたいものだが、北朝鮮の主張を全面的に受諾するという主張以外の具体案は、左翼の側からは何も提示されていないのだから、情けない話である。