半島危機の第一ラウンドは北朝鮮の完勝

数ヶ月前には北朝鮮が弾道ミサイル実験や核実験を強行した場合には朝鮮半島で戦争が勃発するかのような緊張感があったが、9月3日の核実験により、半島危機の第一ラウンドは北朝鮮の勝利に終わった。このタイミングでの開戦は国際社会の支持を得られにくく、アメリカにとってはリスクが高すぎるからだ。

アメリカも当初は強硬な姿勢を見せていたが、対話の可能性を示すなど立場がふらつき、北朝鮮の絶妙な挑発の前に動きが取れず、最後にはレッドラインと言われていた核実験を許し、米国にとってのレッドラインを後退させてしまった。

アメリカは短期間でイージス艦を2隻も壊すという失態を犯し、米韓合同演習も規模を縮小させ、さらにハリケーン災害への対応で北朝鮮への軍事圧力を弱めていた。そのような中、ドイツのメルケル首相は軍事解決反対のメッセージを送り続け、北朝鮮が安心して核実験できるような環境が整ったのである。

ここまで来ると次のステップは日本の左翼が望んでいた対話だ。双方とも面子を保ったまま戦争回避に向けた対話への模索が始まる。しかし、それは北朝鮮の高い野望のため常に戦争の可能性を秘めたままのプロセスとなるだろう。

北朝鮮は、国際社会が開戦止むなしとは判断しないギリギリの所は常に探り続けるだろう。できれば対話の前にあと少し既成事実化しておきたい事があるからだ。

現在獲得しているのは、(1)核実験、(2)日本の排他的経済水域への着弾、(3)日本上空を通過させてのミサイル実験、(4)米国本土に到達するのかしないのか専門家の意見が分かれる程度の弾道ミサイル実験、(5) SLBM実験である。

これを超える挑発ラインとしては、(a)東京上空を通過するミサイル実験、(b)大気圏再突入の成功、(c)日本の領海内への落下、(d) SLBMの長距離化、(e)米国本土に着弾する事が証明できるミサイル実験である。

このうち(e)については、アメリカが本気で開戦する可能性があるため、先に(b)を達成させると予想される。残念ながら憲法9条の制約があるため、(a)と(c)のラインは大気圏再突入の技術開発が完了するまでの余興として簡単に突破されるだろう。SLBMについては戦略上重要であり、開発を継続する事になる。