国連安全保障理事会が9月11日に北朝鮮への制裁決議を全会一致で採択した。これまで以上に経済制裁が強化され、半島危機が新しい局面に入った。日本は非常任理事国として決議に参加しており、北朝鮮による報復の危機が高まったと言える。ちなみに日本の非常任理事国としての任期は今年12月までであり、12月の安全保障理事会では議長国となる。
経済制裁の内容は石油貿易の制限であり、石油の全面禁輸とはならなかった。しかし北朝鮮としては面子のための一発が必要であり、緊張状態は更に続くだろう。一方で半島危機に関してはアメリカも北朝鮮も戦争は避けたいのが本音である。このため挑発と圧力はエスカレートするだろう。喧嘩している二人が大声を出すのは、誰かに止めに入ってもらいたいからだ。そろそろ第三国が動きださなければ、誰も望まぬ戦争という事態も有り得る。
さて、今日は北朝鮮のミサイルが何らかの理由で日本に着弾するというシナリオを考えてみる。そうなるに至った状況が何であれ、このような事態では国家非常事態宣言を発令する必要がある。工作員による国内施設の破壊工作阻止と、治安悪化の防止、パニックの抑制が目的だ。
わが国では東日本大震災でも国家非常事態宣言は発令されなかった。福島原発の状態によっては首都圏からの大規模脱出という事態も有り得たが、結果として日本人の民度と忍耐力に依存して事態を乗り切った。
ミサイルの着弾、そしてそれが首都圏で被害を発生させた場合には、日本人の冷静さに期待するわけにはいかない。たとえミサイルが狙ったものではなく、実験に失敗して着弾したものであっても、警察や自衛隊は国内の工作員を取り締まらなければならない。それには超法規的な措置が必要だ。
しかしながら、それは表向きの理由だ。わが国が北朝鮮の核ミサイル開発に備えて国家非常事態宣言を準備する理由は、北朝鮮の暴挙に怒った暴徒が在日朝鮮人を襲撃する事を防ぐためである。
日本では嫌韓意識が高まっているが、日頃から韓国・北朝鮮に怒っている者はあまり問題ではない。すでに怒りは頂点に到達しており、戦時にはむしろ冷静な態度を取るだろう。
問題なのは、普段は嫌韓ニュースに触れない普通の日本人がパニックで在日朝鮮人に対する憎悪を突然高めてしまう可能性だ。戦争に直面した状況では民族衝突はそのまま対外宣伝に利用される。北のミサイル直撃という事態の中では、工作員の挑発により在日朝鮮人に対する襲撃は発生しうると想定すべきであろう。
現在、非常事態宣言を可能とする法的根拠はない。これは憲法の中で定めるべきであるが、憲法改正は第9条2項の廃止を優先すべきであり、現行制度の枠内で可能な限り国家非常事態宣言の発令を可能とするよう、法律を整備すべきである。