首都圏の大学は減らすべき

小池都知事が、国が打ち出した23区内での大学定員抑制に噛みついた。小池都知事だけではない。規制緩和派の多くが、「保護主義」やら「既得権益」などと国の方針に反対している。

東京の一極集中是正は、関東大震災の再来が懸念された昭和の終わりの頃に随分議論されたが、バブル崩壊にともない議論は消えた。

首都圏における大学定員の抑制は、主として二つの理由で正しい。一つには東京一極集中の是正だ。これを言うと、世界の中で競争するには東京の地位を更に高めなければならないという意見する者がいる。しかし、これでは東京で災害が発生した場合のリスクが高すぎる。大学定員抑制が正しいもう一つの理由は、そもそも大学が多すぎるという問題意識であるが、これについては後日。

今年になって北朝鮮による首都圏に対する核ミサイル攻撃という有事リスクが浮上している。可能性としてはもちろん低い。しかしながら有事にあって敵対国が対象とするのは東京であり、日本の資産、そして日本人の生命を守るという観点から東京一極集中は好ましくない。

東京への軍事攻撃は、未来永劫起きない可能性もある。しかしながら、東京直下地震といった大震災は必ずやってくる。この時に多くの若者が死亡しては、人口減による国家衰退は免れない。

小池都知事は選挙戦で二階建通勤電車を提案したが未だ実現していない。夢のような事業を提案したのも、首都圏における通勤混雑の異常性を理解しているからだ。首都圏の鉄道が混雑を解消できないのは、人間を寿司詰めにして輸送しても輸送力増強のための資金を調達できないからであり、規制緩和路線で公共交通の輸送力が増強するというシナリオはあり得ない。

利権に守られない自由競争こそ教育の質を高めるとは言っても、学生が集中すればする程、税金による公共施設の整備が必要になる。投資を集中させれば国際競争力はつくだろうが、大震災や大洪水、そして戦争による被害が一度発生したら取り返しのつかない事になる。

地方の活性化とか、バランスある国土形成とかいう議論以前に、国家の存続という観点から一極集中は絶対に是正されなければならない。