現代は急激な気候変動期にあり、猛暑、豪雨、渇水、豪雪、海面上昇、氷河後退などは、人類活動による地球温暖化が原因とされている。今日において環境問題は政府や企業にとって取り組むべき重要課題であり、人々の関心も高い。
環境問題への関心は政治運動へと具体化し、産業界との対立の中でリベラル勢力を形成する原動力となっており、近年、環境運動は政治闘争の中で過激化する傾向にある。
その顕著な例がウェーデン人のグレタ・トゥンベリである。2019年、16歳という若さで国連気候変動サミットに出席し、「我々は第6の大絶滅の中にある」と発言し、またかなりきつい口調で世界の指導者を批判する演説をした。ターゲットがトランプ大統領である事は明白であり、マスコミが大々的に報じ、時の人となった。
グレタ現象には世界中の環境活動家が便乗したが、その多くはトランプ大統領を攻撃する政治活動家である。このため科学的根拠も疑わしいような事であっても気候変動の危険性を必要以上に主張していく事となる。
典型的なのはグレタが主張した「第6の大絶滅」である。第5の大絶滅が恐竜の絶滅であるから、地球史的な大事件である。そして、その原因は環境問題に取り組まない世界の政治家(特にトランプ大統領)にあるというのである。
上記のような主張をする環境活動家は、環境左翼とも言うべき政治活動家であり、今すぐ行動しなければ人類が滅びるかのような極端な主張を展開しており、主要メディアもその潮流にのっている。しかしあまりの極論についていけない穏健派の環境活動家もいるのだ。
マイケル・シェレンバーガー(Michael Shellenberger)という環境活動家がいる。気候変動問題に30年間取り組んできた環境活動家であり、地球温暖化に警鐘を鳴らし続けた側の人である。この人はCO2削減についてあまりにも真剣に考え過ぎたため、石炭火力発電よりも原子力発電が優れていると主張するに至った。彼は今年に入り、環境危機を煽ってきた事を謝罪するとともに、「人類は『第6の大絶滅』を引き起してはいない」と主張している。
On Behalf Of Environmentalists, I Apologize For The Climate Scare
彼は地球温暖化の危険性について警鐘を鳴らし続けてきたのだが、その警鐘は環境問題を政治利用する者達によって恐怖を煽る過激的な内容に変貌していった。彼はその責任を感じて謝罪に至ったのである。
現在、政治の世界ではリベラルの過激化が著しい。つまり極左化である。それは自分達の正義を神聖化し異論を認めず、絶対悪に対する戦いを他者に強制する動きだ。穏健派をその流れについていけず、脱落していく。Black Lives Matter運動も同じである。