【朝鮮半島】国家権力の正当性が「反日」である国家

人類は生態系の一部であり、自然状態では各人が何をしようが自由であるはずだが、共同体を形成する中で規則が生まれ、やがて国家がルール定め、違反者を裁くようになった。

国家が個人に義務を課し、違反者を罰する事が可能なのは、国家権力が正当なものであると国民に認められているからだ。国家権力の正当性は、古代においては宗教や建国の英雄、あるいは軍事力そのものであったが、今日では殆どの国家が「民主主義」を国家権力の正当性としている。

ところが「民主主義」では国家の正当性としては不十分である。これは三権分立と民主主義を基盤とする憲法を持つ多くの国で政情が不安定である事を見れば分かる。大統領の決定や議会の採決を最高裁判所が否定して政治が混乱するのは良くある話であり、行政府と議会の対立で大統領が何度も交代して政治経済が安定しない国も多い。表面上、立派な憲法を定めているにも関わらず、多くの民主主義国で国家権力の正当性を巡り、対立が続いているのだ。

この典型が昨年の米国大統領選挙である。公正な選挙は民主主義が成立する前提条件であり、その選挙に疑問が生じた途端に国家は不安定になるのである。トランプ陣営が不正選挙を証明出来なかったために事態は収束したが、今年に入りミャンマーでは選挙不正を理由に国軍がクーデターを起してしまった。

アメリカにおける国家権力の正当性は、独立宣言であり、建国の歴史に関わってきた国民の記憶と愛国心だ。ミャンマーでは独立を主導した軍隊が国家権力の正当性となっている点に問題がある。

我が国における国家権力の正当性は、天皇である。政権は不安定であるが、国家として安定しているのは憲法に天皇が位置付けられ、形式的ではあっても天皇が総理を任命するため、正当性に疑問が無いからだ。

さて、ここから本題であるが、朝鮮半島には本来一つの国家であるべきところ、韓国と北朝鮮が存在する。朝鮮人にとって国家の正当性が日本からの独立にあり、その立役者を巡って対立しているからである。

戦後、朝鮮人は李氏朝鮮を継承せずに北と南で建国したため、過去からの継続性ではなく日本からの独立を国家の基盤とした。しかしアメリカと違って自らの手で勝ち取った独立ではなく、日韓合邦に甘んじてきた事実もあるため、独立の神話づくりが必要であった。それが過度の歴史歪曲であり、反日の源泉である。

韓国も北朝鮮も、日本を悪の帝国として決めつけなければ朝鮮半島における国家としての正当性を主張できない。両国とも単一民族であるため国家としての安定性はアフリカや中南米の国々と比較すると優れてはいるが、それでも韓国の場合は政権を維持する上で選挙だけでは不十分であり、反日である事を証明しなければその正当性を主張できないのだ。

国家の誕生が日本からの独立という様々な虚構を含めた神話に立脚し、反日という姿勢を改める事が絶対に不可能な国家、それが韓国であり北朝鮮なのである。