日本でも武漢肺炎による死者が既に10000人を超えている。令和3年に入って感染拡大をうまく抑制できていないが、その要因としては以下の3点が指摘できる。
- 水際対策の失敗(変異株の流入)
- 防止方針の転換(三密回避の緩和)
- 気の緩み(外出機会の増大)
【水際対策の失敗】甘い強制隔離手段、出入国の抑制と緩和の繰り返し
我が国の入国者に対する隔離・監視体制は、法制度上の問題もあって甘いものであった。初期の頃は準備不足という言い訳も可能であるが、英国変異種とブラジル変異種、そしてインド変異種の流入を許した点は完全に政治の失敗である。
第1回目の緊急事態宣言の後、あまりニュースにはならなかったが、政府は断続的に諸外国への渡航緩和を進めていた。昨年末に感染が急拡大していた時期であっても渡航緩和は進められていたのである。「レシデントトラック」と「ビジネストラック」という双方向の往来を可能とする制度が適用されたのは、正に第二次感染拡大の時期である。これだけではなく、渡航緩和措置は続けられていたのだ。
【防止方針の転換】三密回避からマスク着用へ
初期の頃は、三密回避や外出自粛、ソーシャルディスタンスの確保など、対人接触を最小限とする方針が効果を挙げ、感染拡大を防止する事が出来た。ただし、この方針は第1波終了までであり、その後はマスク着用を前提とした経済活動再開へと方針転換された。
マスク着用については、日本社会の強烈な同調圧力もあって徹底されたが、同時に経済活動が活発となり人々の接触頻度が増加した。
マスクと消毒を徹底すれば、ショッピングや映画館、飲食店で行列しても密集しても問題ないという風潮になったのである。これは感染機会を増やす結果となり、実施に感染拡大の原因となった。
【気の緩み】GOTOジャパンと鬼滅の刃
昨年の東京都知事選のあたりから国民の自粛ムードが緩和され、不要不急の外出というものが無くなり、接触機会が増大した。この動きを加速したのはGOTOジャパンであり、決定づけたのが映画「鬼滅の刃」のヒットである。これらは直接感染の原因になったという訳ではないが、ニュース映像で見る映画館での待ち行列やGOTOキャンペーンなどで、外出を自粛する、という意識が薄くなったのは確かであろう。
このような意識の変化と、マスクを着用していれば大丈夫という感覚が、皆がマスクして居酒屋に集合し、飲み会を開く、という行動を助長した。