強制連行の有無こそ従軍慰安婦問題の核心だ

朝日新聞が8月5日に掲載した慰安婦報道に関する検証記事をきっかけとして、左翼側の理論武装は新たな領域に入ってきた。慰安婦問題では、朝鮮人女性が慰安所に来たのが旧日本軍あるいは日本政府による強制だったのかどうか、という点は関係が無い、というのだ。というのは、吉田証言の完全否定により日本側から強制連行を証明する資料は皆無となってしまったからである。

左翼はこれまで強制を広い意味で定義する事により、あくまで強制という言葉を残そうとしてきた。業者の甘言や人身売買によって慰安婦となった場合も本人の意思に反しているのだから強制だと主張してきた。朝日新聞が吉田清治の証言を嘘と認めた今、軍人やら役人が村々の少女を拉致したというストーリー以外の内容で強制という単語を残すためには、強制性の広義の解釈は反日左翼にとって不可欠である。

一方で、慰安所にどのような経緯で来たのかとは関係なくても性奴隷だったとの理論武装もしている。つまり元慰安婦と称する老婆の証言を信用して、慰安所での扱いが性奴隷だったと主張しているのだ。これで、どう転んでも日本が悪いという結論は維持しようとしている。

しかしながら、元慰安婦と称する連中の証言は慰安所の生活だけではなく、旧日本軍または日本人役人の誘拐まがいの強制連行がセットとなっているのは消しようがない。彼らが主張するような方法による日本による拉致が事実でないとすれば、従軍慰安婦に関する韓国側の証言は全て崩壊するのである。この崩壊を避けるためには、慰安所まで行ったのは業者に騙されて行ったのだ、というように証言を変えなければならない。

従軍慰安婦性奴隷説というのは、吉田清治の証言と韓国人老婆の証言で成り立っている。今や前者の証言が崩壊している事は朝日新聞も認める所である。そして韓国人女性の証言が狭義の意味での強制連行に立脚している以上、その意味での強制連行があったか、なかったかという事が従軍慰安婦の真偽を確認する最大のポイントなのである。

「業者に騙されて慰安婦となった事も強制だ」と主張する左翼は、実は同時に元慰安婦なる女性の証言は嘘であると主張している事にもなるのである。このため慰安所では性奴隷だったなどと嘘に嘘を重ねて時間稼ぎをしているのだ。