戦前からインドネシア独立を支援していた日本人

大東亜戦争終結後、インドネシアの独立戦争に日本人が参加した事は、最近の右傾化の中で多く語られるようになっている事実である。約2000人の元日本兵が独立戦争に参加し、約1000人が命を落したと言われている。

インドネシアの独立戦争とは、大日本帝国からの独立ではない。オランダからの独立である。戦後、オランダは日本軍が去ったインドネシアに対する植民地支配を継続したが、インドネシア国民は独立戦争を闘い、1949年に独立を実現した。

日本人がインドネシア独立戦争に参加したのは、太平洋戦争に敗北して行き場を失くした軍人が暴れたという話ではない。実は戦前から日本はアジア諸国の欧米列強からの解放というイデオロギーを持っており、それを実演しようとしていた日本人もいた。

吉住留五郎は、昭和10年にインドネシアに渡航、インドネシア独立を支援する事になるが、昭和13年にオランダから強制追放されていまう。その後昭和16年に再度インドネシアに潜入するが、戦争勃発により捉えられ、収容所生活を送るようになる。その後昭和17年に釈放されるが、インドネシア独立支援を継続した。

インドネシアの独立に日本人が協力したのは歴史の事実であり、インドネシアが比較的親日である事の理由にもなっている。しかしながら、インドネシアの親日の雰囲気も翳った時がある。それは戦後賠償に関する交渉の時である。日本が戦争中悪い事をした、だから賠償金を支払う、という事を決着する時期だ。お金がからむと、友好関係にもひびが入るのである。

朝日新聞1952-08-10

朝日新聞1952年8月10日