生活保護費に乱給(不当な支給)のあることが国会でしばしば指摘されていたが、厚生省では乱給の一つの原因であると見られていた在日朝鮮人に対する生活保護を日本人なみに引下げる方針を立て今春来、各都道府県と福祉事務所と協力して朝鮮人の実態調査を行なってきた。
これは、今から約60年前の1956年4月15日、朝日新聞夕刊に掲載された記事の冒頭である。以下、朝鮮人に対する生活保護が如何に手厚いかの解説が続く。短くまとめると、朝鮮人の生活保護受給率は日本人の10倍であった。生活保護を受けている朝鮮人には、養豚業を営んでいたり、朝鮮学校の先生であったり、朝鮮総連の幹部である者もいた。これを日本人なみに引下げると、朝鮮人世帯の2割強が保護を受けられなくなる、との記事では述べているが、どういう計算根拠であるかは不明だ。
厚生省調査の結果は同年5月23日に発表されたが、それによると、朝鮮人の生活保護として四億七千万円が不正受給されていた。ただし「不正受給」は読売新聞の表現であり、朝日新聞は単に「それだけ節約できる」という内容である。57万8000人いる朝鮮人のうち、約四分の一にあたる14万人が生活保護を受けていた。
当時の日本は生活が苦しく、より良い生活を求めて中南米移民を再開していた頃である。高度成長は始まったばかりで、まさか日本が奇跡の経済成長を遂げるとは想像できなかった時代だ。そんな時代に朝鮮半島からは密入国が続いて政府を悩ませていたと同時に、朝鮮人の生活安定は治安上も重要な課題であった。当然、日本人より手厚い保護が受けられていた朝鮮人への生活保護に対して厳しい目が向けられていたのである。
上記の新聞記事によると、
- 女三人を働かせて飲食店を経営し、自分だけ掘建小屋に住んでいた
- 旅館やマージャン店を経営したり、メカケを置いていた
- 健康保険の休業手当と保護費を二重取りしていた
等々、なかなか面白い記事なので、後日全文を掲載する予定だ。
上記の一連の記事が出されてから、日本は高度経済成長期に突入していき、在日朝鮮人・韓国人の生活保護の問題は、忘れ去られていったようである。
一方、最近になって生活保護の問題がニュースでも取り上げられるようになっている。在日とは無関係なケースも多いが、ネットでは在日外国人の生活保護が取り上げられる事が多いようだ。日本の財政が厳しくなっている状況では当然の現象と言えるが、60年前の事を知っている日本人は、果してどの程度いるだろうか。