護憲というウソ

子供の頃、家の本棚は共産党関連の書籍で埋まっていた。ほとんどの本は、中身は難しくて理解できなかったが、新書版サイズの薄い本の事を良く覚えている。

それには共産党の綱領が書かれていたが、同時に「日本人民共和国憲法」が収められていた。幼い私は、これこそ日本の正義と思い、一所懸命に読んだものだった。

ある時、日本共産党は護憲政党なのに、何故独自の憲法制定を目指しているのだろう、と疑問が湧いた。だが、その疑問は自分の心の中ですぐに正当化されることになる。理想としての日本人民共和国を実現するためには、現憲法を右翼の望む姿に改悪させない必要がある。理想から遠ざからないためにも、現憲法は死守する必要があり、将来的に共産党が政権を取ってから人民共和国を実現すれば良いのだ、と。

随分後になって、日本共産党は人民共和国の憲法を公的には放棄していた事を知る。しかし、共産党一家に育ち、父親から共産主義について聞かされてきた身からすると、日本共産党が護憲である、という点については強烈な違和感を感じる。

共産党が目指す国家像は現行憲法の下に築かれた資本主義社会ではない。共産党の理念を実現するには、憲法改正は不可欠である。
だから、共産党の護憲、というのは真っ赤なウソである。一番分かりやすいのは天皇に関する条項だ。次回は、それについて記述する。