右傾化の分析〜大東亜戦争の正しい理解~単に戦後に戻っただけ

今回分析する対象は、「右傾化」の流れの中で、単なる歴史的事実の再発見に満足するだけではなく、それをもとに正義の主張と、歴史の再評価を始めた人達である。とりわけ、大東亜戦争に関する事だ。

右傾化グラフ3

世の中が「右傾化」しているとは言っても、どうしても越える事が難しい大きな壁がある。それは戦後教育の中で高々と築き上げられた戦前戦中の日本への評価、つまり当時の日本が軍国主義国家であって戦争という大きな間違いを犯した、という評価だ。その壁はあまりにも高く、右傾化してきた人々の意識もその前で右往左往しているような状況である。

具体的には東京裁判に対する評価だ。よほどの暇人でなければ、「東京裁判史観からの脱却」というような事を言っているサイトを真面目に読む事はないだろう。心の壁がそれを拒絶するからである。しかし東京裁判をまじめに勉強すれば、それが勝者による敗者への一方的、不当な裁判である事が分ってくる。

東京裁判史観からの脱却という一線を越えても、次には南京大虐殺の虚構という、これまた普通の人なら避けて通りたい問題がある。南京大虐殺など無かった、などと主張すれば即、極右扱いされる今の世の中だ。負けると分かっている議論には参加したくないから、多くの人は南京大虐殺否定派のサイトなんかには興味を示さない。しかし一部の人達は肯定派、否定派の主張に目を通し、そして南京大虐殺なるものが虚構であるという判断に行きつくのである。

現状では、この段階に到達した人でも、本心は隠しているのではないだろうか。すくなくとも政治家は政治生命にかかわるから、歴史的には正しい事でも世論に迎合せざるを得ない。しかしながら、学校では教わらない、ましてメディアでは報じられない真実をネットで知った人達のうち、自分の頭で正しい判断をするようになる人が増えているのは確かだろう。こっそり「チャンネル桜」を見ているような人達だ。

一見すると、日本における右傾化の到達点であるように見えるかもしれない。しかしそれは全く違う。実は単に終戦後の日本に戻っただけである。

戦後、20年くらいは戦前・戦中の事を実際に体験している世代が日本の社会を築いてきた。それらの人達は東京裁判が如何に無茶苦茶な、一方的な裁判であるかを十分に理解していた。だからこそ、主権回復後に、戦犯の釈放と名誉回復の世論が高まったのだ。当時の政治家の発言を国会の議事録や新聞で読めば分かるが、今の左翼からは集中砲火を浴びそうな事を平気で発言していたりする。言論は今より自由であったが、戦後教育を受けて育った世代が増えてくるにつれ、世の中は左傾化してしまった。

だから、今日の動きは「戦後」への回帰だと言えるのである。