朝日新聞が今年8月5日に掲載した従軍慰安婦報道訂正記事は、直後から大きな騒動になっている。各紙が大々的に報道し、また多くの週刊誌や雑誌でも従軍慰安婦問題と朝日新聞との関係が取り上げられた。最近では早くも何冊かの新たな関連書籍が出版され、書店に並んでいる。
確かに衝撃的な流れではあるが、出てくる記事の数々は情報としては同じ内容の繰り返しで、新事実はない。これまで関心があった人にとっては、ずっと前からすでに知っていた話ばかりだ。
私にとっては、今回の騒動で始めて従軍慰安婦問題の捏造に朝日新聞がかかわっていたという事実を知ったという人が多数いるという、その事が衝撃的だ。いくらネットの時代になってメディアが伝えない真実を多くの人が知るような時代になったとは言っても、まだまだ新聞の権威の方が高かった、というのが厳しい現実のようだ。だから、今回の騒動ではむしろネットの力がそれ程強くはなかった、という事が示されているのではないか。
吉田清治の証言が嘘である事も、挺身隊が慰安婦とは無関係である事も、随分昔から明確になっている事である。それを、朝日新聞が誤報であったと言ったところで、今さら従軍慰安婦問題の議論が変化するものではない。事実、朝日新聞は従軍慰安婦問題に関する従来の主張を一切変えていない。一見、朝日新聞の敗北に見えるが、従来の主張を変えずに誤報を訂正できたとすれば、むしろ朝日新聞の勝利である。
朝日新聞は30年もの間、吉田清治証言を肯定も否定もしなかたのは、自らの主張に有利であったからだ。現在、朝日新聞が間違いを認めただの、権威が失墜しただの喜んでいる人々も多いが、これは目眩しではないだろうか。問題の核心は、戦時売春婦を性奴隷と表現して日本を貶めている反日左翼の主張を朝日新聞が撤回するかどうかだ。
この騒動がこのまま終息した場合、例え朝日新聞の部数が減ったとしても、従軍慰安婦問題は決着しない。何故なら、随分前から吉田清治の話も挺身隊の話も無関係の世界で従軍慰安婦問題は議論されてきているからだ。
従軍慰安婦問題は、自称元慰安婦たちが日本軍に強制連行されたと証言している以上、日本軍による強制連行の有無がポイントであるはずだ。しかし残念ながら反日左翼のペースにはまって、いつまでも終わらない議論に巻き込まれてしまっているのだ。
今後の騒動が、慰安婦捏造証言を主導した反日左翼や政治家に波及していく事になれば良いのだが。
関連記事