右傾化の分析〜世界を知れば憲法9条のKYぶりが気にかかる

敗戦直後の日本は、復興の過程で平和の理想郷を求めた。当然だろう。300万人という国民が命を落したのである。そのうち民間人は70万人で、東京大空襲や原爆で虫けらのように殺されてしまったのだ。いわゆる平和憲法が発布され、理想郷として東洋のスイスを目指そうとする考えも芽生えた。しかしその考えは朝鮮戦争の勃発や冷戦でふっとんでしまう。

1952年の講和条約発効後、占領下憲法を改正しようという動きが盛り上ったが、結局実現しないまま60年以上が経過した。自主憲法制定を基本理念として発足した自由民主党も結局何もしなかった。そもそも憲法改正に反対する自民党議員がいるのだから、わけが分からない。

外国を旅行すると、空港で軍人が軍服で移動していてギョッとする事がある。しかしこれは日本人の感覚であり、現地の人々は別に不思議な事もなく故郷に帰還する兵士達と気軽に話をしていたりする。軍人が街中にいるからといって、軍国主義だなどと騒ぐ人達は日本人を除いては滅多にいない。

近年、尖閣諸島に対する中国の圧迫が強化されてきており、日本の主権が危機にさらされている。中国は太平洋への進出を目指し、沖縄列島を突破し、日本のはらわたに匕首を突き付けようとする意思が明らかである。一方で米国は相対的な軍事力を低下させてきており、通常の発想であれば日本が防衛力を強化しなればならない事は明らかである。

最近では田母神俊雄や青山繁晴の解説で、自衛隊が法律で事前に定められた事しか活動できないとうポジティブリストの原則で動いている事に対し、世界の軍隊は国際法上許されない事以外は原則自由に行動できるというネガティブリストで動いているという事が知られるようになってきた。このような知識が広がり、自衛隊が国防の役割を果す上で、憲法改正が不可欠であるという意見を持つ人は増えていると思う。

憲法9条を維持する事が平和であるとの主張がいかに空疎な虚構であり、日本侵略を企てる勢力の利益になっているかというのは、他で繰り返し述べるのでここでは詳述しない。ただ、国際情勢が大きく変化するなか、世の中を知れば知るほど改憲派が増えていくのは、正常な流れであろう。

右傾化グラフ4