ウイグル問題を素通りする日本人リベラル派の意図

中国共産党によるウイグル民族弾圧に対し、欧米諸国から非難の声があがる中、日本のリベラルと称する人達からの意見表明が低調である。理由は二つあり、一つは反日のため、一つは親中のためである。

第一の理由であるが、日本が人権後進国であると主張したい反日傾向のあるリベラル派からすると、海外の人権問題が注目されるのは面白くない。特にウイグル問題と比較すると相対的に日本国内の人権問題は小さ過ぎるからだ。

第二の理由であるが、親中派が中国に不利な話はしたくないという単純な話ではなく、より狡猾な意図が隠されている。結論から言うと、日本国内のウイグル人を日本人「右翼」と結びつける事で、ウイグル問題で中国批判する者を極右としてレッテル貼りする事を目指しているのだ。

これを裏付ける記事がある。文春オンラインの2018/11/13の記事に、『日本で「ウイグル問題を報じづらい」3つの深刻な理由(安田 峰俊)』というのがある。この中で、日本国内のウイグル人が反中右翼勢力に取り込まれている事が、「ウイグル問題を報じづらい」理由の一つとされている。「チャンネル桜」が悪い、という理屈である。

そもそも日本国内でウイグル人活動家が保守系の団体に頼らざるを得ない状況になったのは、歴史的に左翼が中国共産党に忖度してきたからだ。チベット問題も同様である。

日本のリベラル派が、弾圧に苦しんでいるウイグル人を本当に支援したいなら、「右翼」からウイグル人活動家を引き離し、自分達の支援組織に取り込むくらいの事は出来るはずだ。国会前デモの動員力を見れば、リベラル派がその気になれば難しい事ではないだろう。

しかしながら、それは起きない。中国共産党による人権弾圧を素通りし、日本国内にいるウイグルやチベットの活動家などを無視する事で、彼等活動家を「右翼勢力」の側につかせ、「右翼勢力」の失言や過激行動を待ち、中国共産党を批判するウイグル人やチベット人を貶める機会を待つ事がリベラル派の意図だからである。

問題が深刻なのは、いわゆる左翼だけではなく、自民党の親中派にも同じ動機がある事であり、面倒な保守派を切り捨てるため、あえて中国共産党による民族浄化政策を放置しているのである。

ちなみに日本共産党がウイグル問題については積極的に発言している理由は、中国共産党への忖度がないからである。逆に言うと、日本国内の自称リベラルは中国共産党と何らかの繋りがあるという事である。