今回の記事は1985年に赤旗で連載された「社会主義みたまま」の第2回目である。社会主義国は国民が別荘を持っていたから、すばらしい、という内容だ。
--住宅の話がでたので、住宅問題についてつづけてほしい。
佐々木 東ドイツも家賃は一家の収入の五パーセント程度だといっていた。住宅問題の解決に力を入れているのは大事なことだと思う。衣食も足り、住も心配がないとなると、社会的に非常に安定してくる。
社会問題としての住宅問題を1990年までに解決するといっていた。社会問題としての住宅問題とはどういうことかというと、トイレやふろ、シャワーのない住宅はなくし、一定の広さをもつ現代的な住宅を一家族に一戸与えようということだ。離婚すると一戸が二戸いるということになるわけだが、離婚問題がなければ87〜88年には一家族一戸の目標を達成できるという。しかし離婚率が高いので90年までかかるということだ。
白井 ルーマニアも戦後の40年間に国民の七割が新しい家に移っている。つまり革命後の政府が建てた公営住宅に七割が住んでいる。そしてブカレストでは今年中に基本的に住宅問題は解決するとしている。基本的というのは、もっと広い良い家に住みたいといいだせばきりがないから、一定水準の住宅でという意味だ。一定水準とは、ガス、水道、水洗便所、浴室、中央暖房がありセンをひねれば湯が出てくるという、日本でいえばちょっとしたマンションというというところかな。
河邑 ハンガリーも住宅建設は計画敵にすすめ、1960年以降でも世帯人口の半分以上が新しい家に住んでいる。しかし、人口一千万のうち首都ブダペストに二百万人が集中しているせいもあって、ブダペストの住宅不足はまだかなりあり、結婚しても新しい家に入るには何年か待たなければならないという事態はまだある。しかし、五ヵ年計画などでこれを解決するため計画的にとりくんでいる。その一方で、面白いと思ったのは、別荘をもつ人がとても多いことだ。ブダペストではごく当たり前のことのようにして別荘を持っている。郊外のドナウ川の川沿いとか丘陵地帯には別荘が点々といっぱいある。せいぜい二間くらいの広さのものがほとんどだが、形や色はとりどりで、かなり広い土地がついている。つまり別荘をもつのが特別のことではなくなっている。この面では、あきらかに日本より豊かな生活をきずいているということができる。土地は一区画十万クォリント余り。平均月収が五千フォリント強だが、共稼ぎだから、手が届かないというほどではない。政府は積極的に土地を供給している。
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