ウイグルよりコロナを問題にする欧米の歪な対中政策

武漢コロナウイルスの世界的蔓延で、世界的にウイルス発生国である中国に対する印象が悪化し、アメリカではトランプ政権がウイルス拡大に関して中国を非難した。ヨーロッパでもドイツ、フランス、イギリスなど中国に対する姿勢がコロナをきっかけに変化しつつある。

4月下旬の話になるが、世界8カ国の政府や民間機関が中国に賠償請求し、その額は100兆ドルになると伝えられている。ただし、このような動きは米国における人種暴動のニュースに埋没し、6月に入って各国が外出規制緩和を始めるに従い、ややトーンダウンしているようだ。

私見であるが、武漢コロナウイルスの蔓延を中国政府の責任とするのは無理がある。意図的に流出させた、あるいは極秘のウイルス兵器が漏洩した、というのなら別だが、現状では確たる証拠はなく、人類を脅かすようなウイルスは地球上どこでも発生しうる事を考えると、発生地責任というのは成立しにくい。また、情報隠蔽のために初動対策が遅れたと言っても台湾などは適切に対応し、拡大阻止に成功している。

中国共産党は様々な問題を引き起こしているが、その最大のものは戦後最悪の人種差別であるウイグル民族に対する弾圧だ。再教育キャンプと呼ばれる強制収容所は、アウシュビッツの再来であり、我々人類は、もし現代のドイツにヒトラーがいてアウシュビッツ同様の施設があったら国際社会が当然実行しているであろう行動と同じ行動をしなければならない。

ウイグルの強制収容所では、監視カメラ付の狭い部屋に大勢が収容され、看守による暴行は日常的で、5分だけ許される監視カメラ付トイレに行くのに許可を求められ、毎日朝から晩まで中国国歌や共産党プロパガンダを強制され、信仰を侮辱される。夫婦で収監されている場合、時々二人だけで過す部屋を与えられるが、そこでの行為は全てカメラで看守に見られるのだ。

コロナを理由に中国を非難しても無理筋であり、失敗するだろう。一方、人種問題に関心が高まっている今、中国共産党によるウイグル民族浄化こそ注目されるべきだ。やがては沈静化する一時の話題で中国の人種差別を許してしまう愚は避けなければならない。