時計の針を30年前に戻した日韓慰安婦合意

慰安婦問題が世に出たのは、今から四半世紀前である。平成3年にはじまる朝日新聞の捏造記事と、河野談話により日本軍が慰安婦を強制連行したとの認識が広まった。初期の慰安婦証言は、日本軍による強制連行ではなく、単なる身売り話であったが、やがて証言内容はグロテスク化し、日本国内ではその真偽について議論が繰り返された。

その結果、慰安婦証言は信憑性に欠け、旧日本軍が強制連行したという証拠は何一つ存在せず、逆に慰安婦は募集であって、しかも高額の給料が支払われてきたという証拠ばかりが登場し、やがて議論は収束した。

例を挙げると、文玉珠は強制連行については客観的資料は出せなかったが、ビルマで預けた巨額の軍事貯金については証拠があった。慰安婦募集の証拠は多数発見されたが、朝鮮人の女性を軍が強制連行したという話については、何一つ客観的証拠が見つかっていないのである。

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何としても旧日本軍を貶めたい左翼ですら、上記の事実は認めつつ、「強制性が問題なのではない」として、慰安所すなわち売春宿の経営自体が女性の人権を犯すものだったという主張に変化していったたのだった。

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しかし、今回に日韓合意で、これまで日本国内で議論を繰り返し、到着しつつあった共通認識が一挙に破壊され、「20万人の少女が旧日本軍によって強制連行され、性奴隷とされた」という韓国側の主張が国際的に固定してしまう事態となってしまった。

日本側は当然ながら嘘の歴史に対しては反論しなければならないが、「不可逆的」という言葉に縛られ、正論を主張する事すら封じられ、逆に言論弾圧されている。自民党の桜田義孝が「慰安婦は娼婦であった」という歴史的事実の指摘すら抑え込まれてしまったのだ。

早い話が、過去30年間、日本の社会を分断し、人々の心を傷つけながら、右も左もようやく歩み寄って収束してきた問題が、全部水に流れてしまったという事だ。

日韓の間で、この問題が収束するのは束の間である。韓国は日本から経済援助などを引き出したら自由な立場になる。困ったら、また蒸し返す事は、過去の歴史を見れば明きらかだ。そして、また過去30年と同じような歴史戦を繰り返す事になるのである。

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