赤旗新聞『前川さんは生きていた』

平成元年の赤旗新聞には興味深い記事が多い。この年は天安門事件とベルリンの壁崩壊で日本共産党にとっては散々な一年であった。最後の最後までチャウシェスクを信じ、最後の最後で裏切られた。

チャウシェスクと日本共産党の親密な関係

さて、この当時、資本主義陣営への対抗意識から、日本共産党は韓国を嫌っていた。

嫌韓の元祖は日本共産党

平成元年1月14日の事である。韓国の釜山市にある観光ホテルで火災が発生し、日本人を含む36人が死亡した。その時の赤旗の記事を紹介したい。

韓国でまた高層ホテル火災 日本人3人含む36人死亡
防災施設不備、非常口にカギ 走る煙、大半は窒息死
【ソウル十四日時事】十四日午後七時十五分ごろ、釜山市釜山鎮区の大亜観光ホテル(地上十階、地下二階)の四階ヘルスクラブ内にあるサウナ室付近でボーンという音とともに突然出火。火勢は強くなかったものの、カーペットなどから有毒ガスが大量に発生、またたく間にホテル全体がこのガスに包まれました。

(中略)
また、同ホテルは①防災設備の改善命令を受け、昨年工事をおこなったものの、消防署の点検は受けていなかった②非常口はかぎがかかったままで、スプリンクラーも作動しなかった--ことなどが明らかになり、人災が被害を大きくしました。

日本人死傷者氏名
【ソウル十四日時事】韓国治安本部が十四日午後、確認した日本人死傷者は次の通り。(敬称略)
【死者】(中略)前川○(54)=福井市

保険証盗み旅券に?
前川さんは生きていた

韓国・釜山市の大亜観光ホテルで十四日発生した火災で、死亡したと伝えられた福井市××、自営業、前川○さん(54)は同日自宅で、「海外旅行にいったこともなければパスポートを申請したこともない」と語るとともに、死者が他人であることを確認しました。さらに「82年の6月から8月の間、会社の事務所から自分の国民健康保険証が盗まれた。盗んだのは小学校の時の同級生で在日韓国人の文正吉、日本名は岩本政男という。盗まれた直後、福井書に被害届を出し、警察でもだれが盗んだか知っており、早急に逮捕するといっていたのに・・・」と話しました。

客置き従業員逃げる
【ソウル十四日時事】韓国放送公社(KBS)が十四日午後九時のテレビニュースで報じたところによると、釜山市の大亜観光ホテルの従業員たちは、火災発生を知るや、客の安全を無視して先を争って逃げ出しました。KBSは、これが被害を多きくした一つの理由だと報じました。

何とも韓国らしい事故で、しかも日本人に成り済ました韓国人という話も入っており、現代だと嫌韓サイトで盛り上がる話であろう。韓国のネガティブな面を報道するのは、赤旗にとってはストレス発散だったに違いない。

今日ではこのような記事を赤旗が掲載する事は無いだろう。韓国批判になってしまうからだ。特に前川さんの証言だけを何の検証もせず一方的に取り上げるような事は絶対にしなかったに違いない。

なお、共産党は前年(1988年)9月8日に、大韓民国は「南朝鮮」と呼ぶ事を発表しているが、上記記事の段階ではまだ韓国と表記していたことが分かる。

韓国を『南朝鮮』と呼んでいた日本共産党

参考までに、赤旗はかつてこんな嫌韓記事まで掲載している。

昭和59年9月16日 韓国米から害虫ゾロゾロ
「輸入韓国米に害虫!」参院農林水産委員会でこのショッキングな事実が明らかにされたのがさる四日。ところがなんとその後入港、陸揚げされた韓国米からも同じ害虫がゾロゾロ。”安全”といいつづけてきた政府。それがこの始末。いくらこんご万全の対策を講じる、といわれても、駆除による有害な臭素が残る恐れもあり、不安はつのるばかり・・・。