4月16日の日米共同記者会見で菅総理の発言に台湾とウイグルの言葉はなく、共同声明の中での台湾明記が大きな注目を浴びて最大のポイントとして報じられた。
一方、日米首脳共同声明では、ウイグルが香港と並列的に述べられているが、国際的注目の中では随分と軽い扱いである。
We share serious concerns regarding the human rights situations in Hong Kong and the Xinjiang Uyghur Autonomous Region. 日米両国は、香港及び新疆ウイグル自治区における人権状況への深刻な懸念を共有する。
メディアは台湾言及を特大ニュースとして取り上げたが、共同声明の文章を読むと、それほど強い意思表明とは読めない。
We underscore the importance of peace and stability across the Taiwan Strait and encourage the peaceful resolution of cross-Strait issues. 日米両国は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す。
日米首脳会談における対中姿勢は、日本のメディアによって誇張して伝えられたと言って良い。マスコミ報道の事は忘れて日米共同記者会見と共同声明を読むと、最近のバイデン政権による対中強硬姿勢を日本側が随分と緩和し、北朝鮮の拉致問題や気候変動などの文章に埋没させている様子が伺える。
菅総理が記者会見でウイグルに言及し、しかも強い調子で非難していれば世界の注目も浴びていただろう。しかし日本はウイグル問題については「懸念」という従来の用語を使用しただけであり、むしろ台湾にメディアに注意を向け、ウイグル問題の沈静化を図ったと見るべきであろう。
中国共産党は100万人のウイグル人を強制収容所に拘束し、尊厳を犯し、棄教を迫り、洗脳している。ウイグル人女性を強制的に出稼ぎさせ、漢人男性と婚姻させている。モスクを破壊し、漢人の入植を進め、ウイグル人女性に強制避妊手術を施し、文化の破壊と民族浄化を進めている。
日本でも国内世論の注目を浴びた事により、カゴメが新疆産トマトの利用停止を発表したり、ユニクロや無印良品による新疆綿の利用が話題となったりした。日本の経済界はこの動きを止めるべく、菅政権に圧力をかけたのであろう。
今回の台湾に関する声明だけでは、強い決意が見えない。そもそも中共による尖閣への侵略に対し、日本政府は相手のペースで事態の緊迫化を避けるという受け身の姿勢を続けているのだ。茶番のような声明で国民を欺くのではなく、具体的な行動を示すべきであろう。