中共が画策する多正面作戦に日本は対応できるのか

今年(2016年)の9月、インドは二つの敵に直面した。ひとつは9月上旬に中国軍がいつの間にか北東部アルナチャルプラデシュ州に進入し、数日間滞在した事態であり、もう一つは9月18日にカシミール地方のウリにあるインド軍施設がテロリストの攻撃を受け、17人のインド兵が死亡した事件だ。前者はインド・中共間の協議で中国軍が撤退したが、後者の事件ではパキスタンとインドの間で緊張が高まり、9月29日にはカシミールの実効支配線付近で銃撃戦が発生、パキスタン兵2名が死亡した。

東部における中国軍の進入と西部におけるテロは発生時期が異なり、相互に連動しているとは言えない。また、後者のテロもパキスタンとの関連性は不明だ。しかし中国とインド、そしてパキスタンの関係を考慮すると、同じ9月に発生した二つの事件の背後に、中共の陰謀があるのではないかと疑いたくなってくる。

日本との関係が良好とされているインドのモディ政権であるが、中国に対しては協調路線を採っており、対立姿勢を極力避けている。パキスタンとの間も同様であり、モディ首相は昨年12月にパキスタンを訪問し、シャリフ首相と会談した。一方、インドはミサイル開発や宇宙開発を着々と進行させており、今年9月26日にはフランス政府との間で32機のラファエル戦闘機購入の契約を結んだ。戦闘機はパキスタンにとり脅威だが、ミサイル開発は中国にとって脅威となる。

インドとパキスタンの間の紛争は中国の利益になるが、仮に中国が背後で両国の分断を策動していたとしてもインドは適切に対応するだろう。

インドが変幻自在な内政外交を実現できるのは様々なオプションを手にしているからであり、軍事力はその根幹である。インドは多くの民族を抱える民主主義国家であり、国内政治には不安定のリスクもあるが国益を第一とする点では国がまとまっている。

一方で日本は憲法9条の制約があって外交のオプションが限定されており、他国の謀略には非常に脆弱だ。それでも現在平和が保たれているのは日米安保のおかげであり、アメリカがアジアから撤退ともなれば中国の脅威に晒される事になる。

中共の工作として分かり易いのは日本国内における左翼の支援と在日中国人の人口増加であるが、外交面で露骨なのは日韓分断工作だ。日本のニュースサイトではレコードチャイナの記事が目立つが、嫌韓サイトに引用されるような記事が多く掲載されると同時に、「日本に旅行して日本の素晴らしさに感動した中国人」の記事がしつこい程掲載されている。これは明らかに日韓分断と親中意識の刷り込みを企図したものだ。

韓国による対馬への野心も、遠い将来には中国にとっての軍事オプションになりうる。そうでなくても漁業水域を巡っての紛争を工作する事もあるだろう。

日本と台湾の間は、南シナ海と尖閣の問題で裂く事が可能だ。台湾は尖閣同様、南シナ海での領有権を主張しており、この点は中共と一致している。台湾と韓国が良好な関係になれば、日本と台湾の友好関係に楔を打てるが、これは難しいだろう。中共の戦略としてはこれまで通り日本側に「一つの中国」を迫り、日台を疎遠にしたタイミングで尖閣領有での台湾との共闘を築く、というものになるだろう。

北朝鮮の脅威は、中国にとって色々と活用できる。軍事オプションを持たない日本にとって北朝鮮に対抗するには中国が重要な役割を果すからだ。

ロシアとの関係では、冷戦時代ほど軍事的な緊張はない。しかしロシアによる日本漁船の拿捕やロシア軍の軍事演習により日本側の注意を北方に逸らす事は考えられる。

中国の野心は尖閣だけではなくもっと遠大なものだが、五島列島に大量の中国漁船を送りこむという両面作戦が中国にとっては有効だろう。

もちろん、中共にとっての最も重要な工作は日米離間である。沖縄の基地問題で左翼が抗議活動を繰り広げるのはその戦略の一環だ。日米離間とはいかなくても、アメリカのイラク侵攻のような事態が生じれば日本に軍事的圧力をかけるチャンスとなる。

中国はサラミ戦法と呼ばれる、徐々に自国の権益を拡大する事を戦略の基本としているが、作戦決行の時と場所を選ぶのは中国であり、日本が多方面で問題を抱えるタイミングで一気に仕掛けてくることだろう。その時、憲法9条という弱点を有する日本は厳しい選択を迫られる事になる。

蓮舫議員の二重国籍問題について

二重国籍問題で話題となり、民進党の党首となった蓮舫議員は、私が共産党支持を止めるきっかけともなった政治家である。民主党が政権を獲った2009年の冬、事業仕分けが大きな話題となったが、科学技術の予算まで削減する内容に驚いた。それまで政治には無関心であったが、この事業仕分けをきっかけに反民主党になり、政治ニュースに関心を持つようになった。

民主党への批判は、事業仕分けで中心的な役割を果した蓮舫議員への嫌悪につながった。「二番ではダメですか」という発言に非常に不快なものを感じたのだ。それ以来、いろいろと政治のことを考えるようになり、最終的には共産党シンパを止めてネット右翼に転向したのだった。

この時、蓮舫議員の父親が台湾人であることは知っていたが、それは全く問題ではなかった。事業仕分けを不愉快に感じた多くの国民も同様であろう。帰化人であるか、親の片方が外国人であるかとは関係なく、あくまで政治的主張に関する不同意により蓮舫議員を支持しない。そのような人が大半であったはずだ。

彼女の二重国籍疑惑が騒がれた時、マスコミの擁護は徹底していて、最初は「二重国籍状態であるはずがない」、次に「台湾は国でないから問題ない」、そして彼女の嘘が明白になってくると、「この問題で騒ぐのは差別主義者」とまで来て、ついには「二重国籍で何が悪い」まで到着してしまった。

私もこの疑惑が報じられた当初は、「二重国籍状態であるはずがない」という感想だった。しかし次々と破綻する蓮舫議員の主張から二重国籍であった事が明確となった。当然、それは問題視すべき事態なのだが、マスコミや左翼陣営は「差別主義者」やら「排他的」あるいは「ヘイト」など、問題をすり代えて逃げ切ろうとした。

さて、国の三権は、その名が示す通り国の権力機関である。特に行政府の場合、大臣ともなれば一般国民が有しない巨大な権限を保有する。実態は官僚が全てコントロールしているのかもしれないが、それでも法律の執行機関の長として、大臣は様々な権限を行使する。法務大臣ともなれば死刑執行にサインをする事も、しない事もできる。外国人に特別に滞在許可を与える事も可能だ。外務大臣などは公約に無いような約束を外国政府と交わす事もある。それぞれの大臣が、様々な許認可を一般国民あるいは外国企業に与え、または与えない。

国家権力を乱用した挙句、実は別の国の国籍も持っていました、といって他国の国民として守られるような事が許されて良いわけはない。ペルーのフジモリ元大統領はペルー国大統領としての権限を最大限に行使し独裁的な政治を行なったが、日本国籍を保有しているという理由で、一般の日本国民同様に日本国政府から庇護されたのだった。

政治家が他国の国籍を保有して良いわけはなのだが、そもそも日本は二重国籍を認めておらず、それは一般国民も同様だ。一部、海外に移民した日本人には特別に日本のパスポートも与えているし、日本の国籍を取得しても事情によって元の国籍離脱が出来ない事態ということも有り得るが、それは例外として認められてているに過ぎない。

蓮舫議員が国会議員でありながら、また大臣も務めながら二重国籍状態を放置していたとあれば、本来は議員辞職に値する大不祥事である。選挙における経歴詐称という問題もあるが、その場しのぎの発言で二重国籍疑惑をかわしてきた蓮舫議員の姿勢も政治家として大きな問題だ。しかしマスコミは問題を日本社会の閉鎖性やら排他性やら、あるいは純血主義やらの問題にすりかえ、蓮舫議員に対する批判を封殺しようとしている。

不思議なのは自民党であり、この問題を不問とする姿勢が見られる。台湾国籍というのは中国共産党との関係もあって政治的に話題とするのが難しいからだろうか。フジモリ元大統領を保護したのは保守派の人達である事が関係しているのだろうか。

今回の騒動が起きる以前は、蓮舫が台湾人だった、という事を問題とする者はいなかった。私もそうだし、多くの保守派の評論家もそうだ。日本国籍を取得したのだから日本人で当然だからだ。ネットで騒ぐ連中もいたかもしれないし、元台湾人であるからダメという主張をする人達もあったかもしれないが、極めて少数の意見であった事は間違いない。一方、民進党の政策や蓮舫の党首としての発言、そしてマスコミの論調から判断すると、実は故意に二重国籍状態を放置し、外国人でも日本の政治に介入可能な状態を目指しているのではないかという戦略が見えてくる。

この問題は、民進党党首の過去における経歴問題ではなく、現在進行中の、日本への間接侵略が進みつつあるという問題なのである。

二重国籍者だったフジモリ元ペルー大統領

アルベルト・フジモリ氏は3度もペルーの大統領に選出された日系人で、2009年に禁固25年の刑を言い渡され、現在服役中である。1990年の大統領就任から2000年11月に日本に亡命するまでの10年間、ペルーにおいて治安回復と経済発展という優れた実績を残してきた。

フジモリ元大統領は、2000年の三期目開始直後の汚職疑惑で立場が急速に悪化し、訪問先の日本からFAXで大統領の辞任を表明し、そのまま日本に滞在。亡命生活をおくる事になった。

その際に話題となったのが、フジモリ元大統領の二重国籍問題である。何と、ペルー大統領に3度も選出されながら、日本国籍を保有していたのである。ペルーでは二重国籍自体は認められているが、二重国籍の者は大統領になる資格はない。例外的に、ペルーを植民地としていたスペインとの二重国籍保有者は認められるが、日本の国籍を有するペルー国民は大統領にはなれない。

この二重国籍の話にペルー国民は驚愕し、そして呆れた。当時の私も憤りを感じたニュースだった。法を執行する最高責任者としてペルーの大統領を2期と少々努めておきながら、不正疑惑で身の危険を感じると実は日本国籍も持っていました、という理屈で日本に滞在するとは、卑怯で恥知らずであり、日系人の評判を貶めるものである。私は今もそう思っている。

例えフジモリ氏の日本国籍が正当なものであったとしても、ペルー大統領として10年間も政治権力の座にあった人物である以上、ペルーの法に従うべく速やかに帰国すべきであったのだ。どうしても不当逮捕の危険性があると言うなら、日本国籍を理由にするのではなく、政治亡命という形にすべきであった。

ある国で政治家としての権限を行使してきた人物が、法律上の身の危険があるからという理由でもう一つの祖国に簡単に逃げるような事を許してはならない。もちろん、独裁者からの弾圧から逃れるという意味での亡命は有り得るが、二重国籍を隠蔽しておく理由にはならない。

現在、フジモリ氏は79歳で、まだ刑務所の中におり、刑期が終了する時には95歳になる。罪状は軍特殊部隊が25人の民間人を殺害した事件に関与した事であるが、本人はそれを否定している。ひょっとしたら冤罪という可能性もあるが、大統領の任期中、独裁的な傾向で権力を行使してきた事も確かである。

フジモリ元大統領の登場により、国内テロと国内経済の低迷というペルーの構造的な問題が劇的に解決されたという功績は歴史に残すべきだろう。しかし同時に、二重国籍を隠して大統領の職に就き、様々な国家権力を利用した挙句、実は日本国籍も持っていましたなどと言って、日本国内で日本国民として5年間も保護されていたという点は、政治家として恥ずべき事であると、私は思うのである。

安倍首相を退陣させ、政権交代を実現する最善の方法

参議院議員選挙は、自民党が過半数を取れず、民進党が健闘した結果となった。本当なら自民圧勝となるはずであったが、自民党の驕りと失策、そしてメディアの偏向報道により、取れるはずの議席を取れなかった。

今回の選挙では野党が憲法改正を争点に据えたが、結果としては、いわゆる改憲勢力が参議院の3分の2を占め、憲法改正の発議が可能となった。

選挙前には必死で3分の2阻止を訴えていた野党であるが、選挙後には安倍首相が改憲を争点にしなかったことなどを理由に、憲法改正が信任されたわけではないと主張しはじめている。

主要メディアも同様であり、国民が憲法改正に賛成した選挙ではないのだから、憲法改正の発議は国民の信を得てからすべきなど、おかしなことを言っている。おそらく、このような連中は、今回改憲勢力が3分の2に到達しなかったら、「国民が憲法改正反対の審判を下した」などと主張していたことであろう。

憲法改正を決めるのは、現憲法下では国民投票であり、国会ではない。国会は発議するだけだ。そして、おそらくその発議を最も恐れているのが、実は安倍首相である。

私は憲法9条は廃止すべきとの立場であるが、残念ながら国民世論は憲法9条維持派が多数である。つまり、今の状態で憲法9条改正の国民投票を実施したら、それは否決される可能性の方が高い。

もし憲法改正が国民投票で否決されたらどうなるか。安倍政権は即退陣を決めることになり、安倍首相の下で安定している現在の自民党政権は崩壊するだろう。

これはEU離脱に関するイギリスの国民投票を見れば分かる。残留派が敗北した6月23日の国民投票の結果を受け、キャメロン首相は辞意を表明した。EU残留に関する国民投票は首相が言い出し、しかもEU残留を訴えていたのだから、EU離脱の決定により、退陣を余儀なくされたのだ。

私が野党の指導者なら、今回の選挙結果を奇貨として、むしろ憲法9条改正の是非を国民投票に委ねるべく、憲法改正発議を与党に挑発する。国民投票に持ち込み、反対派が勝利すれば自民党政権を一気に壊滅させることが出来るからだ。

ただ、憲法9条を対象にした場合、公明党が反対する可能性がある。これに対しては、憲法96条に定める国会発議を成立させるため、野党議員の中からわざと造反者を出しても良いし、国会での投票ではうっかり賛成票を投じてしまっても良い。あるいは国民に信を問うため、本当は反対だが、国民投票を成立させるためあえて賛成した、と主張しても良いかもしれない。また、そもそも憲法96条で定める国会議員の3分の2以上の賛成とは、改正案への賛成ではなくて発議への賛成だと主張しても良い(事実、憲法の条文はあまりにも曖昧で解説書がないと理解できない)。

もちろん、国民投票の結果として憲法改正が決まってしまう可能性もあるが、そこは賭けだ。今後、中国共産党の軍事行動が続けば続くほど、北朝鮮がミサイル開発を進めるほど、憲法9条改正の機運は高まる。であれば、この段階で国民投票を実施し、憲法改正を否決すれば、今後しばらくは憲法改正の話題は消えるし、しかも政権奪取の可能性が高まるのである。

ただ、現在の安倍政権には相当な策士がいるようで、憲法改正発議への挑発にはのらりくらりと躱すであろう。政権崩壊のリスクがあまりにも高いからである。また、そもそも博打に打って出るような度胸のある指導者は野党にはいない。

外国人労働者による沖縄県うるま市女性殺害事件

沖縄県うるま市で島袋里奈さん(20)が強姦されて上で殺害された事件は、今年の5月に元海兵隊員(32)による犯罪と発覚し、基地問題で揺れている沖縄の政治情勢に大きな影響を与えている。

この元海兵隊員は、シンザト・ケネス・フランクリンという名前を持つ黒人男性で、日本人妻との間に子供がいるそうだ。シンザト、というのは日本人妻の名字に由来するのだろう。

メディアでは「米軍関係者」とか「軍属」という表現が多用され、在日米軍と結びつけようとする意図が明白であったが、彼は「元」海兵隊員であり、日本人女性と結婚して、たまたま在日米軍の施設で働いている黒人の外国人労働者である。

反基地派、あるいは左翼、そして中国の工作を受けた者たちは、沖縄に米軍基地があるからこそ、このような事件が発生したのだと主張し、沖縄の苦悩や怒りをメディアで大々的に伝えている。

しかし、これは事件の本当の背景を正しく表わしたものではない。米軍基地の存在によって、このような犯罪が発生する、というのは否定しないが、本質的な問題は、若い外国人男性が多数存在している、という点である。

沖縄には在日米軍の約半数の軍人が滞在している。数としては約2万人であり、これだけの外国人男性が集中していれば、地域住民が不安に感じるのも当然の事である。しかし、この問題を「米軍」だから、という形で論じるのは、短絡に過ぎる。

このように考えれば良い。もし、沖縄の在日米軍兵が全ていなくなり、かわって中国人男性が同じ数だけ滞在するようになれば、沖縄での犯罪は減るのであろうか。今回の問題は、外国人移民、外国人労働者受け入れの問題であるのだ。

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今回のうるま市女性殺害事件で声をあげるべきだとすれば、「米軍は沖縄から出ていけ」ではなく、「外国人(特に黒人)男性は沖縄から出ていけ」である。不思議なことに、メディアの論理では前者は正論で、後者はヘイトになってしまう。しかし、正論は後者なのである。

現在、日本には100万人の在日中国人と数十万人の在日朝鮮人・韓国人がいる。彼等が日本人女性に対して強姦殺人を犯せば、「中国人は日本から出ていけ」「朝鮮人・韓国人は日本から出ていけ」と主張するのは全くの正論である。少なくとも、日本人女性と結婚した「元」海兵隊員の犯罪を理由に反基地運動をする事が正当化されるのであれば、である。