野党よ、安倍政権を打倒するなら習近平国賓来日問題だ

安倍政権は習近平の国賓来日を予定しているが、反対する自民党議員がその阻止に向け動いている。自民党は媚中公明党との選挙協力の都合上、国賓来日中止を主体的に決定するのは難しいだろう。

香港国家安全維持法の導入を契機として盛り上った阻止行動であるが、もともとウイグル人に対する民族浄化政策を進める中国共産党に対する人権面からの反対に加え、尖閣諸島に対する侵略行為を黙認しかねないという危機感からの行動である。二階が何を言おうと、公明との選挙協力がどうであろうと、現代版ヒトラーと天皇陛下を会わせるわけにはいかないという政治家は、妥協するわけにはいかない。

一方で野党を見ると、個々の政治家が国賓来日を批判するケースはあるが、武漢コロナウイルスの感染拡大による来日延期を奇貨として国会の場でも話題とはしなかった。

習近平来日問題は、自民党内を分裂させる絶好の機会を提供している。熱狂な安倍支持者でもさすがに政権の親中ぶりには困惑しているからだ。野党は習近平の国賓待遇を阻止するための国会決議案を提出すべきだった。党議拘束を前に自民党議員の信念が試される事になり、自民党は分裂するからだ。

次回の選挙でも争点とすべきだろう。自民党は公明党との選挙協力で混乱するはずであり、人権軽視の自民・公明と人権重視の野党という対決構図を鮮明にすれば、マスコミのその観点で取り上げる事になり、選挙でも有利になるはずだ。

安倍首相を退陣させ、政権交代を実現する最善の方法

西側諸国の民主主義を最大限活用して人権や平和の名のもとに国を混乱させる一方、自国の独裁は守る事で覇権を広げる能力をシャープパワーと呼ぶ。国内では人権だ平和だと言っておきながら、中国共産党の覇権には協力する公明党はまさに支那のシャープパワーを体現する政党であり、創価学会のメンバーはその手先なのである。

過激化するリベラル運動から脱落する穏健派リベラル

現代は急激な気候変動期にあり、猛暑、豪雨、渇水、豪雪、海面上昇、氷河後退などは、人類活動による地球温暖化が原因とされている。今日において環境問題は政府や企業にとって取り組むべき重要課題であり、人々の関心も高い。

環境問題への関心は政治運動へと具体化し、産業界との対立の中でリベラル勢力を形成する原動力となっており、近年、環境運動は政治闘争の中で過激化する傾向にある。

その顕著な例がウェーデン人のグレタ・トゥンベリである。2019年、16歳という若さで国連気候変動サミットに出席し、「我々は第6の大絶滅の中にある」と発言し、またかなりきつい口調で世界の指導者を批判する演説をした。ターゲットがトランプ大統領である事は明白であり、マスコミが大々的に報じ、時の人となった。

グレタ現象には世界中の環境活動家が便乗したが、その多くはトランプ大統領を攻撃する政治活動家である。このため科学的根拠も疑わしいような事であっても気候変動の危険性を必要以上に主張していく事となる。

典型的なのはグレタが主張した「第6の大絶滅」である。第5の大絶滅が恐竜の絶滅であるから、地球史的な大事件である。そして、その原因は環境問題に取り組まない世界の政治家(特にトランプ大統領)にあるというのである。

上記のような主張をする環境活動家は、環境左翼とも言うべき政治活動家であり、今すぐ行動しなければ人類が滅びるかのような極端な主張を展開しており、主要メディアもその潮流にのっている。しかしあまりの極論についていけない穏健派の環境活動家もいるのだ。

マイケル・シェレンバーガー(Michael Shellenberger)という環境活動家がいる。気候変動問題に30年間取り組んできた環境活動家であり、地球温暖化に警鐘を鳴らし続けた側の人である。この人はCO2削減についてあまりにも真剣に考え過ぎたため、石炭火力発電よりも原子力発電が優れていると主張するに至った。彼は今年に入り、環境危機を煽ってきた事を謝罪するとともに、「人類は『第6の大絶滅』を引き起してはいない」と主張している。

On Behalf Of Environmentalists, I Apologize For The Climate Scare

彼は地球温暖化の危険性について警鐘を鳴らし続けてきたのだが、その警鐘は環境問題を政治利用する者達によって恐怖を煽る過激的な内容に変貌していった。彼はその責任を感じて謝罪に至ったのである。

現在、政治の世界ではリベラルの過激化が著しい。つまり極左化である。それは自分達の正義を神聖化し異論を認めず、絶対悪に対する戦いを他者に強制する動きだ。穏健派をその流れについていけず、脱落していく。Black Lives Matter運動も同じである。

人権方程式(1)

5月下旬に米国で発生した人種暴動事件を契機に、いわゆるBlack Lives Matter (BLM)への同調圧力が巨大な奔流となって世界に波及した。「無関心は罪」的な論法により反人種差別への意思表明を迫る風潮が蔓延したのである。

本来、人権問題への関心は国や集団、個人によって異なる。日本では北朝鮮による日本人拉致の方が人種差別より遥かに深刻な問題であり、香港における言論など基本的人権の侵害やウイグルにおける民族浄化政策の方が米国の国内問題より重大な関心事である。

黒人差別については発信するがチベット問題には沈黙する、あるいは拉致問題の話ばかりしてBLMは話題にもしない、という意見のすれ違いが生じるのは、人によって関心の度合いが異なるためである。同時に無視できないのは思想的偏向だ。

以下の方程式は、上記の事を説明するために考えたものだ。重力モデルのようなものである。

 

優先度(P)=人権侵害度(S)/主観的距離(D)×思想的偏向(B)

 

「人権侵害度」は客観的に図れる指標である。とは言っても相対的要因が含まれるので人権侵害の程度を絶対的な客観性で評価するのは不可能であり、概ね多数の人が了解できる指標を想定している。

「主観的距離」は、人権問題が発生している地域と、評価する主体との間の主観的距離だ。例えばアフリカで発生しているキリスト教徒拉致事件と日本人拉致事件を比較すると、前者の方がDの値は大きくなる。

「思想的偏向」というのは、主に政治的動機から故意にある人権問題から目を背けたり、逆に大きく取り上げたりする程度の事である。香港問題が注目されるのを避けるためBLM問題をことさら強調するような場合である。

三峡ダム決壊の責任を誰に押しつけるか

三峡ダムが決壊した場合、当然責任問題が生じる。中国共産党は責任問題を権力闘争に利用すると予想されるが、建設に関与した外国企業に責任転嫁する可能性もある。

海外企業は主に発電機や変電所など電気設備に関与しており、土木やダム躯体工事はおそらく大半は現地企業によるものだ。このためダムが決壊しても海外企業の責任とはならないであろう。

しかし三峡ダム決壊は中国共産党の政治支配を揺がす大事件となりうる。責任回避のため、あらゆる工作をする可能性は捨てきれない。ひょっとしたら決壊の兆候が見えた段階で発電所に手を加え、わざと崩壊させる可能性だってあるのだ。

さて、三峡ダムの建設当時、日本企業は発電機などの国際入札を目指していた。天安門事件後、天皇訪中までして中国共産党の機嫌を取っていたのである。その見返りとして三峡ダムという巨大プロジェクトから日本の企業が果実を得るのは当然であったろう。

しかし日本勢は次々に受注に敗退し、予定されていた日本輸出入銀行の融資も実施されなかった。一方で何とか受注に至った企業もある。

日本鋼管(NKK)は1998年に高級厚版の受注に成功している。住友金属も2003年に高張力厚鋼板約7000トンを受注している。他には三菱商事(トップベルトコンベヤ)や前田建設(コンサルティング)を受注するなど、日本勢も何とかおこぼれを頂戴したようだ。

さて、2017年のことだ。当時日本は神戸製鋼の品質データ改竄が大問題となっていた時期だが、中国メディアが「三峡ダム工事で契約した住友金属が契約上の基準を満たさない鋼板を納品し、検査の結果全て返品処理された」と報じた。もはや製品の品質において中国は日本を超えたばかりか、そもそも日本製品は品質管理がでたらめだ、との主張だ。

我が国の三峡ダムへの関与はわずかであり、日本企業よりもカナダなどの欧米勢が多く参加している。特にカナダはフィージビリティ調査から関与しており、融資も実施した。

三峡ダムが決壊する可能性は非常に低いが、決壊時の責任転嫁シナリオについては、中国共産党は周到に準備すると想定した方が良いだろう。

三峡ダムより深刻なメコン河のダム建設

武漢コロナウイルスの感染拡大と麻生の呪い

7月2日の発表で東京都の感染者数が100名を超えた。数日前には50名程度だったから、倍々拡大のステージに入ったと言える。私の理論では、これは麻生の呪いだ。ウイルスは感染拡大の抑制にてこずっている国々を見下したり、自国の対応を自慢したりする高慢な国を狙って拡大する。麻生氏が日本人の民度云々と思いあがった態度を見せたのが今回の感染拡大の原因なのである。

武漢ウィルスは傲慢な国を狙って蔓延する

もちろん、これは道徳的な比喩表現であり、実際にはウイルス根絶前に自粛を解いたのが直接の原因であり、いわゆるロックダウン効果がなくなったために起きた必然の結果である。

自粛については、経済優先の立場から猛反対する人達がいる。識者の中には4月の緊急事態宣言は不要だったと主張する者もいるが、これは完全な間違いであり、5月末に一旦収束を見せたのは自粛の成果である。そして今回の感染拡大は社会活動の再開が要因だ。

5月末の収束時点で、いわゆるクラスター対策により突発的な感染拡大に対処していけば、新規感染は続くだろうが平均すれば低水準のまま推移するだろうというような見方が多かった。緊急事態宣言の解除はこれが前提となっている。しかし、これは間違いである。

ウイルスに限らず、感染症というものは感染が拡大するか、収束するかの二つしかない。低水準のまま推移するというのは、非常に稀なケースである。それは感染拡大に関する数学モデルを見れば明白であり、定常状態を実現するパラメータの値が少しでもずれると、拡大か減少かどちらかになるのだ。増減の繰り返しは生態系における法則のようなものであり、武漢コロナウイルスも同様だ。

今後、特殊な要因がない限り、武漢肺炎の死者は増え続ける。上記で説明したように、増えるか減るかの二者択一であり、低位の平衡状態はない。そして増加の際には数学的には指数関数的に増加する。病床数が増えたとか、若年層の感染だから心配ないだとか、その場その場の言い訳で無策を続けていると、いつの間にか欧州諸国と同水準になるだろう。

日本人の民度に期待するな

欧州は日本や韓国などからの入国を緩和したが、アメリカについては除外したままだ。アメリカやブラジルは経済優先の姿勢が明確であったが、他国との人的交流が閉ざされたままとなるだろう。感染が拡大すれば、国際的に孤立するリスクが高まるのだ。経済優先のために経済活動を再開するのは、実際には国際社会への復帰を遅らせ、長期的には経済を悪化させる要因なのである。