アジア系移民の増加が招いたアジア人に対するヘイト犯罪

1992年のロサンゼルス暴動では韓国人街が破壊の対象となり、黒人と韓国人の間での人種的対立が注目された。この時は特に韓国系が経営する商店街が襲撃された。

アメリカに移民した韓国人は、もともと現地に住んでいた黒人よりも遥かに早く現地でのビジネスを成功させ、各地で小売店を展開している。このため黒人経営の商売はうまくいかず、韓国人すなわちアジア人の成功した小売店には良い感情は持っていない。

このため黒人社会は韓国人商店を相手に訴訟を起す事もあったが、経済活動の自由競争が原則のアメリカ社会では通用するはずもなく、敗訴したようだ。その際、裁判官は「君達黒人は長い事アメリカに居て、少し前に来たばかりの韓国人が始めた商売を邪魔するのは恥かしくないのか」といった意味の事を言ったらしい。昔米国人の知り合いに聞いた話なのだが、今のご時世なら大問題となっていた発言であろう。

アメリカにおける黒人差別問題を解決するには、何よりも経済格差を是正する必要があるが、次から次に移民してくる新参の市民に黒人が職を奪われ、いつまで経っても格差は存在する。貧困層は初期投資の面で不利なため、個人経営の小規模店舗から資本蓄積をする道筋になるのだが、それも韓国系の人達に奪われてしまう。

韓国人や中国人は、外国で不利な状況からスタートしても富を蓄積する才能に長けている。また教育水準も高く、大学では黒人優先のためにアジア系が差別されているくらいだ。ハーバード大学で黒人優先のためにアジア系が不利な立場に置かれている件につき、中国系・韓国系アメリカ人が抗議しているが、これも黒人にとってはストレスの要因であろう。

マッサージ店に韓国人や中国人が多い点も、黒人からすればずるいと感じるのではないだろうか。韓国系マッサージ店で売春婦が逮捕されたというニュースは定期的に報じられるし、アトランタで発生した銃撃事件でもアジア人女性がいかがわしい仕事で金稼ぎしているという偏見を感じた人も多いはずだ。実際、襲撃されたスパは過去に売春で逮捕者が出ており、定期的に警察の囮捜査の対象となっていた。

今年に入り、アメリカではアジア系移民に対する襲撃が急激に増加した。犯人は白人である事もあれば、黒人である事もあるが、昨年のBLM運動もあって黒人が加害者側である事にリベラル派が困っている。アメリカの黒人は、もはやヒスパニック系よりも少数派であるが、アジア系は黒人よりも少数派である。少数派差別に白人も黒人も無いのである。

何百年もアメリカに住み、奴隷制を生き抜いてきた自分達よりも、新参者で自分達より良い生活をしている異人種であるアジア人は、アメリカの黒人にとってこれからもヘイトの対象となり続けるであろう。

【日中外相電話会談】中華秩序の形成を目指す中国共産党、気がつかない日本

4月5日に王毅外相と茂木外相が電話会談した。日本国内では日本側がウイグル問題などで「深刻な懸念」を伝達した事を中心に報じられたが、海外メディアは中国側が「大国間の対立に関わるな」と日本側に警告した事に注目している。

日本でもyahooニュースを通して、Wow! Koreaの『中国外相「日本よ、“大国の対立”に関わるな」』、朝鮮日報が『中国・王毅外相、日本の茂木氏に「米中の大国対決に干渉するな」』と報じている。

今回のニュースに関しては、海外メディア、特に韓国メディアの対応が核心を突いている。冷戦構造の崩壊後、中国は急成長し、現在の世界は米中の二大覇権国によって世界が二分されている状況にある。それは中国が目指していた世界であるし、残念ながらそれが実現している。

しかし、アメリカと中国では、その勢力圏の形成に大きな違いがある。アメリカは確かにリーダー国ではあるが、同盟国や同じ価値観を有する国家との間に上下の概念はない。一方で中国が念頭にあるのはかつての中華思想、すなわち小国はその分際を弁え、大国に尽せという上下関係に基づく秩序である。

この意味で韓国が今回のニュースで王毅外相の発言に着目したのには十分な理由がある。かつて李氏朝鮮は事大主義に染まり、大国である清王朝に対し、小国として逆らわず、属国としての立場で振る舞う事が正義であった。いわゆる「東方礼儀之国」としての誇りであり、明治の日本政府を悩ませた思想であった。

清と朝鮮の大国・小国関係を終わらせたのは日清戦争であり、日本が中華秩序を破壊した成果として朝鮮は大韓民国として、国際社会で対等な地位を持つ国となった。

「大国間の対立に関わるな」というのは、つまり小国は大国のやる事に口出しするな、それが礼儀だぞ、という事である。日本はこの発言に対して抗議すべきであった。

中国は、一方では「中国外交は一貫して、国の大小を問わず、すべての国が平等である原則を実行している。(2021/1/12、王毅)」と宣伝しているが、真っ赤な嘘である。小国は大国に従えというのが日中外相電話会談でのメッセージであり、茂木外相はその事に気がついていなかったのだ。

習近平が目指すのは、中華秩序の形成であり、それは周辺の小国は大国である中国の言動に口出しを許さず、国際社会のルールを中国が決定し、小国がそれに従う世界である。また中国国内の問題には干渉させないが、宗主国として周辺国の内政には関与していくのがその姿である。

日本国内にいる100万人の中国人は、その一人一人が中華秩序形成のために存在している尖兵であり、現在日本が最も警戒すべき危機でもある。

学術会議の権威は科学に対する信頼に依るもので、必然的に自然科学分野に限定される

アメリカの学術会議(アカデミーズ)は政府から独立した非営利組織であるが、財源の85%を連邦政府に依存している。その中には補助金も含まれるが、連邦政府との契約に基づき実施する研究や調査の対価である。

政府が何かの業務を民間組織に発注する場合、本来は競争入札で業者を選定する。政府の仕事を請け負う業者を競争なしに選定していけば、政治は必ず腐敗するからである。競争ではない随意契約は、大規模災害などの緊急時や、一社が独占する技術が必要な場合など非常に特殊な場合に限り例外的に認められる。

連邦政府の各種機関がアカデミーズに業務を依頼する場合、それは随意契約である。NPOであろうと、本来は競争で業者を選定しなければならず、実際に政府が調査研究を民間に発注する場合は競争入札である。にも関わらずアカデミーズは特権的に直接指名で政府と契約し、お金を貰っているのだ。繰り返すが、アカデミーズは日本学術会議とは異なり、非政府組織であり、随意契約は特殊な事例だ。

なぜアカデミーズが競争なしに政府業務を受注できるのかというと、それはアカデミーズが有する科学分野での権威の高さであり、政府機関が求める高度な業務を最高峰の品質で応える事が出来るという信頼感である。そして、その信頼感がどこに由来するかというと、科学に対する絶対的な信頼性である。

西洋人の科学に対する信頼性は、キリスト教と両立している宗教と言っても良い。それは産業革命を成功させ、他文明圏に対する白人社会の圧倒的優位性を確立させた。科学はイデオロギーとは無縁であり、共産主義者だろうがナチスであろうが、どんな思想でも1+1は2であり、絶対的な正解を提供する。但し、高度な話になると大学レベルの知識でも追い付けず、学術会議のような天才達の集団を信じなければならなくなる。

日本学術会議は人文系の学者を含んでいるため、科学に対する信頼性では権威を築けない。政府組織である、という点だけが日本学術会議の権威を定めているのであり、米国のアカデーズが持っているような科学への信頼をベースに成立する組織ではないのである。

米国アカデミーズは、政府の軍事研究の依頼にも応える。NGOだから研究を受託して財源としなければならないからだ。それでも政府に忖度するかというと、そうではなく独立を維持している。繰り返すが、科学への信頼が支えているからである。昨年、トランプ大統領が武漢コロナウイルスを軽視する態度を見せていた時に堂々と批判できたのは、科学に立脚する自信があったからだ。

日本学術会議は人文系の学者を切り捨てるか、あるいは廃止すべきだろう。

五輪で北方領土アピール、そして尖閣の危機

今日(4月6日)のニュースによれば、サーフィンのロシア代表チームが北方領土で合宿し、領土アピールをしたとの事である。東京五輪は7月に予定されており、日本は参加国とは友好ムードを維持する必要があるため、抗議は難しいだろう。

現在、国後島はじめ北方領土にはロシア人が居住しており、今回の件だけを取り上げて大騒ぎするというのは微妙な判断である。しかし、これは巧妙にも中国の尖閣における行動を正当化する要因となるだろう。

1960年の東京オリンピックでは、同年に中国が核実験を実施した。広島、長崎で多数の命を失なった被爆国日本は、オリンピック成功の観点から強い抗議も出来ず、その後、中国は核大国となっていく。

バイデン政権になってウイグル問題を中心に米国が対中強硬姿勢を示し、世界的にもウイグル人に対する中国共産党の弾圧をジェノサイドとして認定し非難する動きがある中、日本は東京五輪の成功のため周辺国との軋轢は避けたい状況である。日本のこのような姿勢は中国にとっては大チャンスであり、日本がぶち切れるギリギリの所を狙って、今後の既成事実化に有利となる行動を中国は取るであろう。

ウイグル問題で中国を批判する日本企業に対する制裁、嫌がらせは続くだろうし、日本人に対するスパイ容疑での逮捕も継続するかもしれない。香港での支配力強化、ウイグル人再教育施設の正当化、モンゴル人に対する漢化政策、チベット仏教への介入など、国際的に非難を浴びる行動も、日本が不問としてくれる程度を試す行動をするだろう。

そして、何よりも危険なのが尖閣情勢である。オリンピックの開催にあわせて尖閣で行動を起こされたら、日本はどう対応するのか。漁民が遭難したので一時上陸した、程度なら五輪の友好ムードを壊してまで日本は抗議しないのではないか、など中国は周到なシミュレーションをしているであろう。

日本は関係悪化を避けて中国を刺激しないようにしてきたが、日本側にとって事態は年々悪化しており、均衡状態が常に中国側に有利な方向に動いている。平和主義者の「相手を刺激しない事」や経済界の企業活動優先、そして親中派の中国共産党とのコネクション維持が、すぐにも起こると予想される日中戦争の素地を形成しているのである。

【ポリコレ暴走】Wokeが推すEquity概念、Equalityとの違い

バイデン政権はEquityという用語を頻繁に利用している。Equityとは公平・公正という意味である。似た概念にEqualityがある。日本語だと平等と訳されるので、公平とは違う意味のようであるが、「結果の平等」ではなく「機会の平等」と捉えれば、Equityと類似した考えである。

アメリカでは人種差別は残るが、チャンスに差別はなく、「機会の平等」という観点からは極めて公平な社会である。このため、アメリカン・ドリームを語る際にEquityとEqualityに違いは無い。しかし近年ではリベラルがEquityの意味する公平をポリコレ風に解釈し、バイデン政権がそれを強調するようになった。

誰にでもチャレンジの機会があるのが公平の本来の意味であるが、米国のリベラル派は挑戦に至るまでの、人々の才能や努力に影響を与える周辺環境を揃える事こそが公平であると考えている。つまり、治安の良い街の裕福な家庭で恵まれた教育環境の中で育つ白人と、犯罪が多い街の貧困な家庭で警察に怯えながら育つ黒人では、そもそもスタートラインで公平ではない、という主張だ。彼等にとってEquityとは、そのような環境や条件の違いを無くし、勝負前の状況を同一に揃える事を意味するのである。

上記のようなEquityは、逆差別と呼ばれてきた各種の黒人優遇政策を正当化するものである。人種だけではなく、女性やLGBT優先政策も含まれる。アメリカン・ドリームを支えてきた機会の平等ではなく、結果の平等という出口と、Equityという入口に到着する前の準備段階での平等を推し進めるという思想だ。

Equityは、主として人種間の平等、Racial Equityとして語られており、バイデン政権が発表したインフラ計画でも言及されている。まだ過激にEquityを実現させる政策というのは見えていないが、任期中に支持層に対して目玉となる政策を出す必要がある。

アメリカではポリコレ蔓延とともに、従来のリベラル派が左翼化の傾向を強めている。このような人達は、Woke (ウォーク)と呼ばれている。左派からは良い意味で、右派からは蔑称として使われているようだ。