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BLM意見表明でウイグル問題を無視できなくなった国際企業

ユニクロは #BlackLivesMatter で意見表明した企業の一つである。任天堂やSONYもそうだ。伝統的に政治的中立を維持していた日本企業も、昨年のBLMで積極的に特定の社会運動に指示を表明する方向に舵を切ったのである。

この動きは、企業自身で決定した場合もあっただろうが、世論の強烈な同調圧力に晒された事も要因の一つであった。日本国内でもリベラル派と称する人々が、BLM圧力をメディアなどで強化していくが、国内マーケットの企業に広まる事はなかった。

中国共産党によるウイグル人に対する民族浄化は、数年前から国際問題となっており、ウイグル人弾圧に加担しているとされる現地企業との取引している企業が批判の対象となっていた。とは言え、その声はBLMに比べると遥かに小さく、素通りしても特に問題は生じていなかった。

ところが、昨年末あたりからBBCが入手したビデオを放送するなどして、急速に関心が高まる。欧米各国も非難を強め、その声は日本でもようやく高まった。

中国は日本の主要貿易国であり、取引を即座に中止する事は不可能だ。企業も政治とは無関係に輸出入を継続できるはずであるが、BLM以降、世論が企業に対して人権上の配慮を要求するようになり、その中でもウイグル人弾圧に加担するような企業活動には厳しい目が向けられている。

中共政府は、ウイグル人強制収容所を再教育施設と称して100万人と推定されるウイグル人を共産主義の洗脳施設に収容している。

そのような状況で多くの日本企業が中国企業と取引しているわけだが、これは今が仮に1935年であったとして、果してドイツ企業と取引するのか、という事と同じである。ちなみにドイツの強制収容所は、この時点ではまだ虐殺はなく、共産主義者らを再教育するための施設であった。

ナチス・ドイツとビジネスを継続していた米国企業があったように、習近平政権でも中国ビジネスを展開する企業があっても不思議ではない。

しかし現代の企業は「黒人差別反対運動に賛成」と意思表示しなければ企業活動も継続できない。同様にウイグル人に対する民族浄化に反対、と意思表示しなければ企業活動も継続できないはずである。

BLMでは、任天堂も支持を表明した。世界的な企業はもはや政治的中立を主張して人権弾圧問題にノーコメントを通す事は出来ない。

 

ミャンマー国軍クーデターとアジア人差別の背後にあるキリスト教の西欧主義

ミャンマー国軍がどうして国民に銃を向けてまで権力に固執するのかを理解するためには、彼等の立場になって、そのイデオロギーを理解する必要がある。

ミャンマーにおける国家権力の正当性はイギリスによる植民地支配からの独立運動にある。これを主導したのがミャンマー国軍であり、軍人らが国政を握ってきた根拠である。

イギリスはイスラム教徒をビルマの地に流入させ、カレン族をキリスト教に改宗させるなどミャンマーを多民族・多文化させ、民族分断による植民地支配を進める。多数派民族を悪者にし、その文化を破壊する一方で、少数民族を重用して多様性を強制するという西欧の植民地主義である。

ミャンマーは1948年にビルマ連邦として独立するが、イギリスは植民地時代の圧政は無視してビルマの軍事政権を非難するようになる。国際社会は英国人と結婚したアウン・サン・スー・チーを英雄として持ち上げたが、独立の歴史を知る者からすれば西欧社会の一貫したビルマ族敵視としか見えない。

おそらくミャンマー国軍のイデオロギーにあるのは、植民地時代の屈辱と闘争の歴史観であり、国家の軍隊というよりは、被害者妄想が原動力となっている宗教集団となっている。

植民地時代に支配地における多数派民族を弾圧し、少数派育成による民族分断と多民族化、そして白人男性と現地女性の混血による民族浄化、これらを進めてきたのは西欧キリスト教社会であり、そして第二次世界大戦以降、今度は人権を語って旧植民地における後進性や野蛮性を非難しているのも西欧キリスト教社会である。

現在、アメリカで問題となっているアジア人差別も、西欧キリスト教の価値観に源流がある。彼等はイスラム教社会を変革させる事は出来なかったが、アジア社会(ミャンマーより東)についてはキリスト教化する事で植民地支配を可能とした。朝鮮半島におけるキリスト教の布教もその一貫であり、日本人と朝鮮人の分断を図る西欧キリスト教の侵略方法なのである。

アジアの黄色人種は、彫りの深い顔付きの白人やアラブ人、アフリカ北部の黒人の集団から見れば異質な存在であり、生理的に差別の対象であるだけでなく、見た目は劣等であるのに頭脳がそこそこ優秀という点で西欧キリスト教社会には不快な存在だ。

アジア人社会では前近代的な倫理観に支配され、女性差別が横行していて、個人より集団で行動するという近代西欧価値観とは乖離している、というのが西欧キリスト教社会の偏見であり、差別意識である。この思想はアメリカの黒人にも伝播し、同国のアジア人差別にも影響している。

BBCなど欧米メディアが日本を差別主義者扱いする時のリベラル視点は、アメリカで白人や黒人がアジア人を差別する時の感情と根が同じなのだ。そしてミャンマー国軍はキリスト教社会の偽善性を知っており、被害者意識のイデオロギーで内部を思想統制しているのである。

アジア系移民の増加が招いたアジア人に対するヘイト犯罪

1992年のロサンゼルス暴動では韓国人街が破壊の対象となり、黒人と韓国人の間での人種的対立が注目された。この時は特に韓国系が経営する商店街が襲撃された。

アメリカに移民した韓国人は、もともと現地に住んでいた黒人よりも遥かに早く現地でのビジネスを成功させ、各地で小売店を展開している。このため黒人経営の商売はうまくいかず、韓国人すなわちアジア人の成功した小売店には良い感情は持っていない。

このため黒人社会は韓国人商店を相手に訴訟を起す事もあったが、経済活動の自由競争が原則のアメリカ社会では通用するはずもなく、敗訴したようだ。その際、裁判官は「君達黒人は長い事アメリカに居て、少し前に来たばかりの韓国人が始めた商売を邪魔するのは恥かしくないのか」といった意味の事を言ったらしい。昔米国人の知り合いに聞いた話なのだが、今のご時世なら大問題となっていた発言であろう。

アメリカにおける黒人差別問題を解決するには、何よりも経済格差を是正する必要があるが、次から次に移民してくる新参の市民に黒人が職を奪われ、いつまで経っても格差は存在する。貧困層は初期投資の面で不利なため、個人経営の小規模店舗から資本蓄積をする道筋になるのだが、それも韓国系の人達に奪われてしまう。

韓国人や中国人は、外国で不利な状況からスタートしても富を蓄積する才能に長けている。また教育水準も高く、大学では黒人優先のためにアジア系が差別されているくらいだ。ハーバード大学で黒人優先のためにアジア系が不利な立場に置かれている件につき、中国系・韓国系アメリカ人が抗議しているが、これも黒人にとってはストレスの要因であろう。

マッサージ店に韓国人や中国人が多い点も、黒人からすればずるいと感じるのではないだろうか。韓国系マッサージ店で売春婦が逮捕されたというニュースは定期的に報じられるし、アトランタで発生した銃撃事件でもアジア人女性がいかがわしい仕事で金稼ぎしているという偏見を感じた人も多いはずだ。実際、襲撃されたスパは過去に売春で逮捕者が出ており、定期的に警察の囮捜査の対象となっていた。

今年に入り、アメリカではアジア系移民に対する襲撃が急激に増加した。犯人は白人である事もあれば、黒人である事もあるが、昨年のBLM運動もあって黒人が加害者側である事にリベラル派が困っている。アメリカの黒人は、もはやヒスパニック系よりも少数派であるが、アジア系は黒人よりも少数派である。少数派差別に白人も黒人も無いのである。

何百年もアメリカに住み、奴隷制を生き抜いてきた自分達よりも、新参者で自分達より良い生活をしている異人種であるアジア人は、アメリカの黒人にとってこれからもヘイトの対象となり続けるであろう。

「武漢ウィルス」表現の拒絶が招いた対アジア人イトクライム

アメリカではアジア系に対するヘイトクライムが多発しているが、この原因をトランプ元大統領の発言にあるとする主張が繰り返されている。武漢コロナウィルスの事を「チャイナウイルス」と呼んだ事が、アジア系へのヘイトを招いたというのである。中には「武漢ウイルス」という表現すら差別と主張する者もいる。

昨年、というより2019年の12月から発生したパンデミックは、武漢を震源としており、病気については武漢肺炎、ウィルスについては武漢ウィルス、あるいは武漢コロナウィルスと表現するのが理にかなっている。ところが中国共産党とWHOが発生当初の不手際について批判を避けるため、武漢の名称を冠しないようプロパガンダ工作を行い、それに世界が屈してCOVID-19という、不可思議な表現となってしまった。

ウイルスの名称に武漢をつける事が差別的でも何でもない事は、水俣病やら日本脳炎、アフリカ豚熱などの例を出すまでもなく当然の事である。ところが世界中の人々が中国のプロパガンダに流され、武漢ウイルスという表現が人種差別であるという嘘を広めてしまった。

武漢ウイルスが中国で収束し、欧州で感染が急拡大すると、中国共産党は武漢ウイルスに関するフェイクニュースを流し始める。そして3月12日には中国報道官が「ウイルスは米国起源」と発言。2019年10月に武漢で開催された軍人オリンピックに参加した米軍がウイルスを持ち込んだとする米国起源説がその根拠だ。

トランプ大統領が「チャイニーズウイルス」とツイートしたのは3月17日で、中国による責任転嫁に業を煮やした反応である。その後、中国は情報戦を強化し、プロパガンダを展開、一方で欧米、特に米国による中国批判が激しさを増す。その中には修飾語のトリックを使って「日本新型肺炎」と表現した大使館による印象操作も含まれ、官製メディアを通して、武漢ウィルスの中国起源を直接否定するような報道も繰り返される。

武漢コロナウイルスが世界的に蔓延する中、アジア人に対するヘイト感情が高まる。これはごく自然の事であり、日本でも当初は中国人排斥の世論があったし、変なところではインドネシアで日本人がウイルスを持ち込んだという事で日本人排斥の声が挙がった。ちなみに日本では中国人よりも海外からウイルスを持ち込んだ日本人へのヘイトが目立った。

一方で一旦ウイルスが国内で拡散すると、その後は国内の問題となり、感染が全世界に広がると、発生源がどこかという問題は重要では無くなる。

中国人に対する国際的なヘイト感情が高まった直接の原因は、欧米各国による中国への賠償請求である。それも元を正せば中国がウイルス発生時の情報隠蔽や初動ミスを頑なに認めない傲慢な姿勢と、中国こそウイルス対策に貢献しているとする自己礼賛が原因である。

こうして見ると、「武漢ウイルス」という表現を認めず、差別問題扱いにした中国の態度が、当初から中国共産党の無謬性と自己礼賛、そして世論を従わせようとする意図の一部であった事が明白である。

武漢肺炎、武漢コロナウイルス、あるいは武漢ウイルスという表現を早期に確定し、中国政府が感染拡大防止に誠意をもって真摯な態度で対応していれば、世界対中国という図式は生じなかっただろうし、WHOも中国共産党に忖度なく客観的かつ中立的な対応が可能だったろう。

また、早期に武漢ウイルスという表現で決着していれば、後に政治的な意味での「チャイナウイルス」という表現が利用される事もなかっただろう。

今回のパンデミックは武漢から世界に広まった歴史に残る大事件であり、後世にWuhan Coronavirusとして語り継がれるものだ。スペイン風邪でスペイン人を悪く言うバカはいない。日本脳炎で反日運動が盛んになるものでもない。アフリカ豚熱でアフリカ人は豚だと言うアホもいない。「武漢」を隠蔽し、傲慢な態度でプロパガンダを続ける中国の姿勢が対立を招いているのである。

南アで続く白人農家襲撃とBlack Lives Matter問題

南アフリカでは1990年代から今日に至るまで農家襲撃事件が社会問題として続いている。90年代後半から2000年代前半にかけて頻発した。昨年(2019)には552件の襲撃事件が発生し、そのうち殺人は52件であった。襲撃の内容は、暴力、殺害、強姦をともなう強盗である。

南アでは歴史的に農場を保有する農家は白人が大半を占める。このため南アの農家襲撃事件とは、黒人が加害者で白人が被害者という構図になっている。アパルトヘイト廃止と1994年に成立した黒人政権成立以降、少数派でありながら裕福な白人層が黒人に狙われているのだ。

この問題は、欧米の白人達の間で取り上げられるようになったが、リベラル派は即座に対応し、南アで農業経営する白人が黒人に殺されているという話をする者を白人至上主義者呼ばわりし、「ファクトチェック」と称して人種は農家襲撃事件とは無関係と主張するようになった。

農家襲撃事件の被害者には黒人農場主も存在するし、そもそも農家襲撃に関して南アは人種別の統計を取っていない。だから人種差別は動機ではなく、強盗が目的だ、というのがリベラル派の主張のようだ。

確かに南アの犯罪は元々凶悪であり、人種的憎悪があろうがなかろうが残虐なやり方で強盗するのが普通なのだろう。たまたま裕福な農家には白人が多いというだけかもしれない。

しかし、この論法は立場が逆な場合は全く通用しない。白人が黒人を殺害した場合、それはすぐに人種差別が原因と主張され、デモ隊により糾弾され、人種差別はやめましょうという反省文や声明文が白人社会から出てくるのだ。

ハム(カナン)の呪い、聖書と黒人差別と自虐史観